農業は障害者の方も多く活躍している産業であり、それだけ求人数も多い職業です。
農業にはいろんな作業工程があるので、適性がありそうな仕事を任せてもらって活躍できるチャンスがあります。
この記事では、
- 障害者の方が活躍できる農業求人の具体例
- 障害者採用で農業の求人を探すメリット
- 障害者の人が求職時に行うべき準備
といった点を分かりやすく解説します。
この記事を読めば、障害者の方が農業で活躍するために必要な知識を身につけられるので、最後まで読んでいただければ幸いです。
障害者に対して政府が推進する「農福連携」で就農機会が増加
農林水産省は、障害者が農業分野で活躍して社会に貢献する「農福連携」という取り組みを行っています。
障害者の就労支援や生きがいを見出すだけでなく、農業の人手不足を解消できれば、「農業」と「福祉」の課題解決につながりますよね。
農業法人等への障害者の就業支援や研修、スマート農業の技術活用など、専門的な知識やスキルのある人材の育成に力を入れており、障害者の就農機会は今後も増えることが予想されます。
障害者採用を行う農業求人の例
障害者の採用を積極的に行う農家さんや農業法人があるので、例を紹介します。
障害者採用を前提とした求人は、研修や業務上のサポートも充実しているため、障害者の人も安心して働ける環境が整っています。
一定数の従業員を雇う企業は、障害者を雇用する義務があるので、大きい会社でも採用されるチャンスがあるんです。
野菜や果物の収穫・出荷準備の仕事
野菜や果物の収穫、出荷準備の仕事は障害者の方にもおすすめです。
収穫作業は丁寧さや正確さが求められ、手作業で行う地道な業務でもあります。
包装や出荷作業も手作業で丁寧に行わなければならないので、正確さや緻密さが求められるでしょう。
花き栽培・手入れの仕事
「花き栽培・手入れ」は、お花の栽培や管理をして、美しく育てる仕事です。
種まきや植え付け、剪定といった一部の工程を任せられることもあれば、収穫までひと通り任せられる場合も。
花き栽培は繊細な作業が得意で、忍耐力がある人に向いています。
熱心に植物に向き合い、成長過程を見守る必要があるので、植物への興味関心があるとよりいいですね。
農産物の加工の仕事
「農作物の加工」は、収穫された農産物を加工して出荷したり、保存処理やパッケージングしたりする仕事です。
食品加工なので衛生管理が求められ、細部に注意を払って作業を進めなければいけません。
衛生管理の責任が伴う大変な仕事ですが、食品加工は創造性や充実感がある仕事でもあります。
「農作物を商品として形にしたい」という熱意がある人におすすめです。
園芸作業の仕事
いわゆる農業のイメージとは遠いかもしれませんが、「園芸作業」は花や木を育てて、公園や庭の景観を守るお仕事です。
植え付けや剪定、水やり、落ち葉の処理など多岐にわたる作業があり、一部の工程を任せてもらうことが多いです。
黙々と作業を進めることもあれば、植物の配置を考えるなど、クリエイティブな能力が求められることも。
植物の変化や成長を楽しめる人や、美しい景観を作ることに喜びを感じる人はとくにおすすめです。
障害者採用枠で農業求人を探すメリット
障害者の雇用機会を増やすために、一定規模の企業・法人は一般枠とは別に障害者採用枠を設けています。
労働環境や福利厚生などでメリットを享受できる可能性があるので、一般採用に絞らず障害者採用も検討してみましょう。
障害を配慮してもらいやすい
障害者の採用を前提としているため、採用フローや採用後の育成、担当業務などで障害を配慮してもらえます。
スキルや経験、適性や資質を適切に評価してもらえるので、採用の可能性も高くなるでしょう。
採用が決まって働く際にも、バリアフリー化が進んだ職場の設備や補助具の提供、専門的なサポートスタッフの配置といった配慮がされる可能性も。
研修制度や希望する仕事の提供など、障害者のキャリア支援を行う会社もあるので、長期的に会社で活躍できる環境があるのもメリットと言えます。
特性によって能力が発揮される場合も
障害者の方は、身体的・知的・感覚的・精神的な面で特徴や制約があります。
それらを「特性」として捉えて適性や資質を判断することで、向いている仕事を見つけられるかもしれません。
身体的な制約がある人でも、手先が器用で細かい作業が得意な人は、包装や出荷準備などで活躍できるかもしれません。
発達障害の方で、得意分野において優れた集中力や記憶力を発揮する可能性があります。
福利厚生が充実している
障害者採用の義務がある会社は、従業員数の多い企業なので、福利厚生や待遇面が良い求人もたくさん募集されています。
なぜなら、「障害者雇用促進法」で待遇面に差をつけるのは禁止されており、研修などのスキルアップの機会も一般採用と同じにしなければいけないからです。
ただし、障害者雇用の人は勤務時間を短縮されたり、非正規雇用で採用されたりして、給与が下がるケースもあるので注意しましょう。
障害者の方が農業求人を探す前にしておくべき準備
求人に応募する前に準備しておくと、採用や就業後もスムーズです。
応募しても採用されるか不安な人や、活躍できる環境で働きたい人は、
- 応募前に障害の種類や制約を把握する
- 障害者サポートの環境や制度を確認する
- 障害者雇用に関する相談窓口を利用する
といった準備をしておくとよいでしょう。
応募前に障害の種類や制約を把握する
採用後のミスマッチを防ぐためにも、求人に応募する前に自身の障害の特性を把握しておきましょう。
知的・精神的障害を持つ人は、身体障害者と比べて特性が幅広く、具体的な制約の把握が困難です。
たとえばASD(自閉症スペクトラム障害)の人の場合だと、相手の気持ちを汲み取るのが苦手だったり、特定の分野に強いこだわりを持っていたりと、特性の種類もさまざまです。
同じ障害でも人によって特性は異なり、得意不得意も異なるので、「自分は何ができないか」をきちんと整理し、採用面接の段階で伝えられるとよいでしょう。
障害者サポートの環境や制度を確認する
障害者採用で求人であればあまり心配ないですが、応募先の企業は「障害者に配慮した環境や制度を導入しているか」を確認しましょう。
たとえば、社内のバリアフリー化や時短勤務、視聴覚サポートといった制度や設備が挙げられます。
また、社内の相談窓口や専任の産業医がいる会社もあり、気軽に体調に関する相談ができて安心です。
求人を選ぶ際に、「安心して働ける環境かどうか」という視点で会社を選ぶのもよいでしょう。
障害者雇用に関する相談窓口を利用する
障害者の方は、公共職業安定所(ハローワーク)で就職や採用に関する相談が可能です。
職業訓練の受講や障害者採用の求人案内など、個人の状況や特性に応じて対応してくれるので、不安なことやわからないことがあれば気軽に相談してみましょう。
ハローワーク以外にも、「地域障害者職業センター」では、就職前の相談や就職後の職場適応の援助など、継続的に支援を受けられます。
障害者が就農するなら、就労訓練や農業体験を利用するのもおすすめ
障害者の方で「いきなり農業に挑戦するのはハードルが高い」と感じているのであれば、まずは農業体験や就労訓練を受けるのも検討してみてください。
農福連携の取り組みの一環で、自治体や大学、民間企業などが障害者向けに農業体験の機会を用意している場合もあります。
「障害者でも自分の特性で活躍できるのか知りたい」「障害者でも働ける農業の具体的な作業内容ってなに?」という場合はとくに、短期間でもいいので農業に触れてみるのがおすすめです。
また、ハローワークなどの就労支援窓口では、就労訓練などのプログラムも受講でき、自身の適性や能力を把握するのにも役立ちます。
農業体験や就労訓練を通じて、障害者でも農業で活躍できるという自信がつけば、農業の求人に応募してみましょう。
農業は人手不足で求人数も多いので、焦らずじっくりと自分に合う求人を探せば、きっと活躍できる職場に出会えるはずですよ。