「稲作って何?」
「何ができるの?」
「どんな作業があるんだろう?」

稲作に興味をお持ちの方は、こんな風にお考えかもしれません。

稲作とは、米作りに必要な稲を栽培すること
日本人の食卓に欠かせない米は、稲作によって生産されているんです。

ただひとくちに稲作といっても、その仕事内容は多岐にわたります
「田植え」や「稲刈り」以外にも1年を通してたくさんの工程があり、一つひとつ計画的にこなしてこそ、おいしい米ができるんです。

このページでは稲作の手順や、作業スケジュールを詳しくご紹介します。
どんな人が稲作に向いているのかもあわせてお伝えしますので、興味のある方、やってみたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。


つくられる米は年間約300品種!稲作の生産物例

つくられる米は年間約300品種!稲作の生産物例

冒頭でも伝えたように、稲作は米をつくるために必要な稲を栽培すること。

その稲からは、年間約300品種もの米がつくられています

なかでも「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」は人気が高く、現在とくに流通量の多い品種です。

また米は農作物の中でも品種改良が盛んに行われていて、毎年さまざまな新種が市場に出回ります。

コシヒカリを品種改良した「ミルキークイーン」や、10年にわたる交配によって生み出された「つや姫」は近年大人気の新銘柄です。

このように稲作ではたくさんの米の品種がつくられ、市場やみなさんの食卓に日々届けられています

稲作の年間スケジュール おいしい米はこうして作られる

稲作の年間スケジュール おいしい米はこうして作られる

稲作には、さまざまな工程があります。

ここでは年間スケジュールの一例を基に、稲作の工程を見ていきましょう。

3月 苗づくり発芽器で苗を発芽・育成させます。(育成に3日間は必要)
育てた苗はビニールハウスに移し、田植えの時期までそのまま育てるのが一般的です。

4月 田おこし:田んぼに水のない状態で、耕うん機を使い土を耕します。
その後は、田んぼに水を入れて土を耕す「荒かき」が必要です。
田植えの3日前くらいになったら、さらに細かくする「代かき(しろかき)」を行います。

5月 田植え田植え機を使い、苗を移植していきます。
田植えを終え1週間程度したら、除草剤を撒き、稲に養分を送るための追肥(ついひ)が必要です。
田植えから25日程度経過したら再度除草剤を撒き、田んぼの草刈りを行います。

6月 防除:出穂(しゅっすい)前にカメムシやウンカなどの害虫を駆除します。
出穂したら再度防除を行う場合が多いです。

7~8月 穂肥肥料を撒き、成長を促します

9月 稲刈りコンバインで稲を収穫します。

10~2月 土づくり:来年の田植えに向け、稲に必要な栄養素を十分に補給できる土を作ります
田んぼに有機肥料や土の性質を調整する苦土石灰(くどせっかい)を撒いて、有益な微生物が住みやすい環境をつくるのが目的です。

稲作農家の1日の流れ 作業時間は9時間程度

稲作農家の1日の流れ 作業時間は9時間程度

年間のおおまかなスケジュールがわかったら、次は稲作農家の1日の流れを確認していきましょう。

稲作農家は休憩を抜いて、1日だいたい9時間程度作業します。

作業時間は一般的なサラリーマンと変わりませんが、仕事を朝早くからはじめるのは稲作農家ならではです。

05:00~06:00 起床・準備
06:00~08:00 農作業
08:00~09:00 朝食
09:00~12:00 農作業(収穫)
12:00~13:00 昼食
13:00~15:30 農作業(出荷の準備)
15:30~16:00 休憩
16:00~18:00 農作業
18:00~22:00 夕食・就寝

稲作の仕事内容 経験や判断力が必要

1日のスケジュールがわかったら、次は稲作の仕事内容を詳しく見ていきましょう。

苗づくり 健康な苗を育てる

おいしい米をつくるためには、丈夫で健康な苗が欠かせません。

そこで、まずは選別・消毒を行い、水分を吸収させた種子を土の敷き詰められた箱に撒き、苗を育てます。
このとき苗が乾燥してしまわないよう、定期的に水やりを行うことが重要です。

この工程を行い、田植えができる状態の苗に育つまではおよそ1か月。
苗づくりは、田植えの時期を逆算して行います

田植え 養分が偏らないように注意

代かきと呼ばれる整地作業を行ったら、苗づくりで育てた苗を水田に植え付けます

田植をする際は、植える株ごとの本数、深さ、間隔に注意が必要です。
ここをあいまいにすると、せっかくの養分が一方に偏ってしまい、均等にいい苗が育ちません

現在では、田植え機での田植えが一般的になりました。

田植え機なら均等に苗が植えられるだけでなく、精度の向上や時間短縮にもつながるため、ほとんどの稲作農家で使われています。

水田の管理 気候によって水の量を調整

田植え後は、苗の発育状況に応じた水田の管理が必要です。

田植えをしたあと、新たな根が育つまで苗の発育を促すため、気候や気温に合わせてこまめに水の深さを調整させます。

逆に、土の中のガスを抜くために、水を抜いて水田を乾かす「中干し」を行うこともありますよ。

稲刈り 刈り取りの時期が重要

コンバインを使って、稲を刈り取っていきます
現在手作業での刈り取りは、ほとんどなくなりました。

その後、穂からもみ(脱穀前の状態の米)を取り出します。

コシヒカリの場合、穂が出てから収穫までの日数は35~37日程度
これ以上刈り取りが遅れてしまうと、米が割れたり色つやが悪くなったりするため、時期の選定は重要な要素です。

稲作のやりがい・魅力 日本人に欠かせない米をつくる

稲作のやりがい・魅力 日本人に欠かせない米をつくる

稲作をする上でのやりがいや、魅力は何でしょう。

稲作は日本人に欠かせない米をつくる、誇りのある仕事でもあります。
農家の人たちは稲作にどんな魅力を感じているのか、見ていきましょう。

日本人には欠かせない米をつくる誇り

稲作の最大の魅力は、「日本の主食である米をつくる」ところでしょう。

米は、日本人の食生活に欠かすことのできない食材。
そんな、なくてはならない米をつくることは、稲作農家にとっての誇りです。

また丹精込めてつくった米が市場、さらには食卓に並び、評価されたりおいしく食べてもらえたりした時は、何事にも代えがたい喜びが感じられますよ。

歴史を受け継ぐ

稲作の起源は、約1万年前の中国長江流域と言われています。

そこから日本に伝わったのは、紀元前1000年頃のこと。
つまり現在から約3000年前には、日本で稲作が行われていたのです。

農機の発達により工程や手間は改善されてきたものの、長い歴史のある稲作を受け継ぎ、そして後世に伝えることは、他の仕事では味わえないやりがいやロマンを感じられるでしょう。

自然と共存する

稲作は野菜のハウス栽培とは違い、直接自然の影響を受けます。

冷夏や猛暑、さらに台風と、まさに自然との闘いでもあるんです。

稲作農家は、日々変動する自然環境の中で、常に最適な判断や対応を迫られます。

これまで長い時間と愛情を注いできた稲が、ひとつの判断ミスで枯れてしまうこともあるんです。

ただ、だからこそ自然と共存し、米を収穫できたときの喜びは大きくなります。

そしてその自然を相手にすることこそが、稲作の醍醐味でもあるんですね。

稲作はこんな人に向いている オフィスワークとはまったくの別物

稲作はこんな人に向いている オフィスワークとはまったくの別物

稲作はオフィスワークと違い、屋外で自然と触れ合いながら行う仕事。

向き不向きがあらわれやすい職種なので、自分が稲作に向いているのか、これから紹介する3項目でチェックしましょう。

  • ①自然が好き
  • ②計画を立てるのが好き
  • ③コツコツと地道な努力ができる

①自然が好き 害虫・害獣駆除と向き合うことも

稲作は、必ず自然とふれあいます

ときには大雨の中で泥だらけになっての作業や、害虫・害獣と向き合う場面も出てくるでしょう。

泥だらけになるのがイヤ、虫や動物が嫌い、という人では続かない仕事なのです。

自然に抵抗のない人、楽しみを見出せる人は、稲作に向いています。

稲作をやってみたい方は、まずは自然が好きかを考えてみましょう。

②計画を立てるのが好き 工程の管理は必須

稲作にはさまざまな工程があり、日々計画的に進めていかなければおいしい米はつくれません

また気温・湿度・日照時間・田んぼの水量や養分など、作業以外にも考えなくてならないことがたくさんあります。

稲作はそれらをすべて加味した上で進めるので、収穫から逆算した工程の作成や1日・1か月単位での作業計画が必須なんです。

物事を計画立てて進めるのが好きな人は、稲作に向いていると言えます。

③コツコツと地道な努力ができる おいしい米は1日にしてならず

稲作は日々の積み重ねが大事です。

おいしい米は、1日や1週間でできるものではありません

土づくりの段階だから、毎日少しずつ収穫へ向けて工程や作業をこなしていくんです。

なので稲作には、コツコツと地道に努力する姿勢が求められます

日々の小さな作業がのちのおいしい米につながる、という意識を持ち続けられる人は稲作に最適です。

稲作のQ&A 未経験でも働ける?

稲作のQ&A 未経験でも働ける?

Q.稲作でどんなキャリアが積めますか

A.法人の場合は稲作のノウハウを学び、現場の管理者や経営幹部へ進む方が多いです。
また法人で経験を積んで、独立し自分の田んぼで稲作をする方もいらっしゃいます

Q.女性にもできる仕事でしょうか

A.できます。

稲作は近年機械化が進み、以前のような力仕事は少なくなりました。
そのため、稲作の現場では主婦や女子学生の活躍が増えています

Q.長期休暇は取れますか

A.取れます。

ただ稲刈り前までは繁忙期のため、稲作農家では稲刈り後の秋から冬にかけて長期休暇を取る場合が多いようです。

Q.未経験でも働けますか

A.働けます。

稲作に限らず、農業は未経験からスタートされる方が非常に多いです。
現在は、数時間単位で働けるアルバイトも人気
経験の有無を問わない場合がほとんどなので、やる気があれば未経験でも問題ありません。