観光客を対象に、農産物の収穫体験や花き鑑賞の場を提供する、観光農業。
ブドウ狩りやイチゴ狩り、フラワーガーデンなどは、観光農業にあたりますよ。
ただひとくちに観光農業といっても、その作業内容は幅広く、従来の農業とは異なる仕事も行う必要があります。
農作業だけでなく、集客や接客まで一貫してできてこそ、観光農業は成り立つのです。
このページでは、観光農業の仕事や年間のスケジュールを詳しくご紹介します。
観光農業に向いている人もあわせてお伝えしますので、興味のある方、やってみたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
観光農業で栽培される農産物例 観光客が収穫しやすい果物・野菜をチョイス
冒頭でお伝えしたように、観光農業は、観光客に農産物の収穫体験をしてもらう農園。
観光客が手軽に収穫できて、その場で食べられる果物・野菜を栽培します。
また鑑賞用の花きにおいては、日常生活では見られないような珍しい品種を栽培・展示する場合が多いです。
観光農業で栽培される農産物例
【果物】
ブドウ・リンゴ・ミカン・ナシ・サクランボ・ブルーベリー
【野菜】
イチゴ・メロン・スイカ・サツマイモ
【花き】
ハーブ・バラ・チューリップ・亜熱帯植物
観光農業で扱う主な農産物は、こちら。
その土地ならではの特産品が、栽培する農産物のメインになります。
観光農園の年間スケジュール 食べごろ・見ごろに合わせた栽培
さまざまな農産物や作業工程のある、観光農業。
ここでは、観光農園でもとくに人気のあるブドウ狩り農園とフラワーガーデンを例に、年間スケジュールをご紹介します。
【ブドウ狩り農園】
11~7月 栽培
ブドウの木の剪定(せんてい)や芽欠き、摘粒(てきりゅう)などを行い、みずみずしく見た目にもきれいなブドウを栽培します。
詳しい栽培方法は『果樹とはどんな仕事?』のページに記載がありますので、興味のある方は、ぜひご覧ください。
8~10月 開園
観光客向けに告知を行い、ブドウ狩り体験をしてもらいます。
ブドウの収穫方法をレクチャーしたり、ブドウに関しての質問に答えたりと、主に接客が仕事になりますよ。
【フラワーガーデン】
通年で花きの栽培・展示を行うフラワーガーデン。
季節に合った花きを展示するため、開花の時期を見越して順次栽培や管理を行います。
以下は、花きの展示例です。
【1~4月】ビオラ・チューリップ・クリスマスローズ
【3~5月】サクラ・ヒヤシンス
【4~8月】バラ・アジサイ・ショウブ
【7~9月】ハイビスカス・ラン・ヤシ
【10~12月】コスモス・サザンカ
【通年】ハーブ・亜熱帯植物(ハウス栽培)
観光農園の1日の流れ 栽培時期と開園時期で作業が異なる
年間のおおまかなスケジュールがわかったら、次は観光農園の1日の流れを確認していきましょう。
観光農園では観光客を入れる開園時期と、それ以外の栽培時期とでスケジュールが大きく異なります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【開園時期】
08:00〜09:00 起床・出勤
09:00~10:00 開園の準備・受付
10:00~12:30 接客
12:30~13:30 休憩
14:00~16:00 接客
17:00~19:00 片付け・予約管理・退勤
【栽培時期】
08:00〜09:00 起床・出勤
09:00〜12:00 農作業
12:00〜13:00 休憩
13:00〜17:00 農作業
17:00〜18:00 記録、退勤
観光農園の栽培時期は、他の業種と同じく、農作業を中心に行います。
一方の開園時期は、1日を通して接客が主なお仕事。
受付や予約管理、収穫方法の説明など、一般的な農業とは異なる仕事を行います。
接客が終われば、片付けと翌日に向けての準備。
ほ場は仕事場でありながら、お客様も来園されるスペースになります。
農作物の補充や清掃など、お客様が楽しめる環境を作るのも大切な作業ですよ。
観光農園の仕事内容 すべてはお客様が楽しめるように
1日のスケジュールがわかったら、次は観光農園の仕事内容を詳しく見ていきましょう。
農園の整備 観光客が快適に過ごせる環境作り
来園した観光客が、快適に収穫体験や鑑賞をできるよう、農園の整備を行います。
足元に泥防止シートを張ったり、ハウス内に空調やトイレを設置したり、さらに休憩スペースを作ったり。
また子どもが遊べるアスレチックや授乳室を設けるなど、小さい子どもの来場を想定した農園作りも重要です。
もちろん観光客を迎える準備の他に、通常の栽培作業も並行して行います。
その時期だけなく、次の季節・来年の収穫に向けた準備も欠かせない仕事のひとつですよ。
体験プランの企画・集客 農園のウリを広めよう
体験プランの企画や企画の告知といった集客も、観光農園の仕事のひとつ。
観光農園では収穫する品種や時期、さらに客層に応じて体験プランを練ります。
子どもからお年寄りまで、幅広い世代のお客様が楽しめる企画を考えるのがポイントです。
体験プランの企画ができたら、より多くの人が来場してくれるよう告知・集客を行います。
SNSを使ったり町の広報誌に案内を載せたり、たくさんのお客様が足を運んでくれるよう周知しましょう。
予約管理・接客 農園の特徴や魅力をアピール
観光農業では予約の受付や問い合わせ対応、当日の接客も行います。
お客様一人ひとりが楽しめるよう、農園内の人数やスケジュールを調整しますよ。
また接客は、自家農園の生産品の特徴や魅力をアピールするチャンス。
他の農園との違いや伝えたいポイントをまとめておいたり、農産物の専門知識を身に着けおいたり、会話でもお客様を楽しませられるよう準備しておきましょう。
観光農園のやりがい・魅力 人とのつながりを感じられる農業
観光農業には、どんなやりがいや魅力があるのでしょうか。
観光農園は農作物を栽培するだけでなく、観光客に収穫して食べてもらうという、従来の農業とは異なる特徴を持つ業種です。
農園の人たちは観光農業にどんな魅力を感じているのか、見ていきましょう。
たくさんの人と触れ合える 自慢の農産物をアピール◎
子どもから年配の方まで、幅広い年齢層の方が訪れる観光農園。
さまざまな年代や地域の人たちと触れ合えるため、丹精込めて育てた農作物をアピールできたり、おいしく食べてもらえたり、農園を知ってもらうチャンスが広がります。
またお客様と接する中で、おもしろい企画や作りたい農作物ができるなど、農園をさらによくするアイデアが生まれるケースもありますよ。
地域に貢献できる 町おこしの一貫になるケースも
観光農業は、地域貢献の役割も担います。
地域の特色を活かした観光農園や農家レストランを展開し、たくさんの観光客を呼び込めれば、その土地や特産品のアピールにつながるでしょう。
また、農園と地域住民とが協力してイベントを開催するのも◎
集客できるだけでなく、地域のコミュニティを盛り上げられますよ。
B級品も食べてもらえる 食べ放題でムダ0を実現
観光農園では、市場価値の低い”B級品”も商品になります。
農業でいうB級品とは、味は一般的な作物と同じなのに、着色が不足していたり形がいびつだったりして売り物にならない、もしくは通常の価格で売れない農産物。
普通の農家では、せっかく育てて収穫した作物でも、B級品というだけで処分してしまうケースがほとんどです。
ところがブドウ狩りやイチゴ狩りのような観光農園では、食べ放題にしている場合が多いため、お客様はB級品でもあまり気にせず食べてくれます。
丹精込めて育てた農作物を捨てずに、ムダなく商品にできるところも観光農園のメリットです。
観光農業はこんな人に向いている コミュニケーションが取れる人は◎
観光農業の仕事は、農作業だけではありません。
接客したり集客したりといった仕事も必要なので、自分が観光農業に向いているのか、これから紹介する3項目でチェックしましょう。
- ①コミュニケーションに自信がある
- ②試行錯誤ができる
- ③農業以外の業務にも携わりたい
コミュニケーションに自信がある 人と話すのが好き
観光農園には、子どもからお年寄りまで幅広い年代の方々が訪れます。
年代や住んでいる地域の異なる方々に対して接客を行う観光農園では、コミュニケーション能力が重宝されるんです。
自家農園のよさを伝えるためには、人と話すのが好きな人でないと務まりませんよね。
「作物を相手にする農家は、人と関わらなくてよい」なんて方は、考え直す必要があるかもしれません。
試行錯誤ができる 失敗に負けない向上心が必要
観光農業には、試行錯誤する力も必要です。
観光農園は思い通りに作物が育たなかったり、お客様を集客できなかったりと、失敗がつきもの。
そのたびに原因を突き止めて、同じ失敗が起きないよう対策を練らなくてはいけません。
ですので状況を改善する施策や新たなアイデアを、試行錯誤して考え出す根気が必要なんです。
思い通りにいかないと投げ出してしまう人、向上心のない人は、観光農業に向かないでしょう。
農業以外の業務にも携わりたい 集客のノウハウがあれば◎
観光農業では、農作業以外にも接客や集客など、さまざまな業務に携わる機会が多いです。
「集客のノウハウを活かせる仕事がしたい!」
「SNSを使ったPRが得意!」
このような集客に関する知識をお持ちの方は、観光農家にピッタリ。
農作業以外の業務に積極的に関わりたい方は、観光農業でも活躍できるでしょう。
観光農園のQ&A 長期休暇は取れない?
Q.観光農園でどんなキャリアが積めますか
A.以下が一般的なキャリア構成です。
STEP1:栽培・接客スタッフ…その土地に適した作物の栽培技術、また接客技術が身につきます。
STEP2:現場リーダー・農園長…生産の効率化や品質向上をふまえた農場全体の管理、また集客拡大に向けたマーケティング戦略に携われます。
STEP3:責任者・独立…観光農園に関わるすべての業務が身につきます。
また独立して自分の農園をはじめる人も多いです。
Q.長期休暇は取れますか
A.取れます。
観光農園では、開園している期間以外は、ほ場の管理を行うのが一般的です。
作物によって異なりますが、果物を扱う農園などは、剪定の時期を除いた期間に長期休暇を取得できます。
また365日花きの世話をするフラワーガーデンでは、交代制にしたり農業派遣者を雇ったりして、長期の休暇期間を設ける農園も少なくありません。
Q.女性でも働ける仕事でしょうか
A.もちろん可能です。
観光農園では農作業と同じくらい、観光客の集客や接客の業務があります。
さまざまな業務があるので、体力面に不安のある女性でも活躍できますよ。
Q.未経験でも働けますか
A.働けます。
観光農業に限らず、農業業界は後継者不足から、新たに農業をはじめる人を支援する働きが活発です。
またお伝えしたように、観光農園は営業スキルやマーケティングスキル、さらにはプロモーションスキルといった農業以外の知識や能力が重宝されます。
やる気さえあれば、未経験でもまったく問題ありません。
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