「畑作って何?」
「何が作れるの?」
「仕事内容が知りたい!」

畑作に興味をお持ちの方は、こんな風にお考えかもしれません。

畑作とは、畑で穀物や豆類、イモ類などを栽培すること
小麦や大豆といった日本人の食卓に欠かせない食材は、畑作によって生産されているんです。

ただひとくちに畑作といっても、その仕事内容は幅広く、たくさんの工程から成り立っています
土づくりからはじまるさまざまな手順を計画的にこなすだけでなく、自然と共存できてこそ、おいしい作物が実るのです。

このページでは畑作の仕事や手順、作業スケジュールを詳しくご紹介します。
畑作に向いている人もあわせてお伝えしますので、興味のある方、やってみたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。


食卓に欠かせない食品の素材を作る 畑作の生産物例

食卓に欠かせない食品の素材を作る 畑作の生産物例

冒頭で伝えたように、畑作は畑で穀物や豆類、イモ類などを栽培すること。

穀物は麦類(小麦・大麦)に加え、トウモロコシやソバなど雑穀も含まれます。

また豆類は小豆や大豆、イモ類はジャガイモやサツマイモが代表的です。

これらの畑作で作られた作物はパンや麺、納豆やしょうゆなどに加工され、私たちの食卓に並びます。

畑作では、日本人の食卓に欠かせない食品の素材を生産しているのです。

畑作の年間スケジュール 作物によって収穫時期はさまざま

畑作の年間スケジュール 作物によって収穫時期はさまざま

さまざまな工程のある、畑作。
ここでは年間スケジュールの一例を基に、畑作で生産される作物の工程をご紹介します。

【大豆】

6月 土づくり・整地:畑を耕したり、苦土石灰(くどせっかい)を用いた土壌改良・排水対策をしたりして、大豆が丈夫に育つ環境を作ります

7月 種まき種と種との間を10cm程度あけて種をまきます。

8月 中耕(ちゅうこう)・培土:土壌の通気性をよくするため、種をまいた周囲の土を浅く耕す「中耕」を行います。
その後種をまいた部分に耕した土を寄せ、大豆の苗が倒れにくい環境を作る「培土」を行うのが一般的です。

9月 害虫駆除:カメムシやマメシンクイガなどからの被害を防ぐため、殺虫剤を使った害虫駆除を行います。

11月 収穫:葉が落ちて茎が茶色になり、サヤを振ってカラカラ音が鳴るくらい乾燥したら収穫の目安です。
収穫は直接サヤだけを取るのではなく、枝ごと切ります。

【小麦】

10~11月 土づくり・整地:畑を耕したり、肥料を用いた土壌改良・排水対策をしたりして小麦が丈夫に育つ環境を作ります。

11~12月 種まき:種をまきます。
種まき後はすぐに土をかぶせることで、発芽率が上がり、鳥や虫からの被害を防げますよ。

12月~2月 踏圧(とうあつ)発芽した芽を足で踏み、根張りをよくします

2月 追肥:小麦は栽培期間が長い作物なので、養分を切らさないように肥料を追加します。

6月 収穫:全体の80%以上の穂首が黄色くなり、ツヤがなくなったら収穫します。
収穫の目安は、出穂(しゅっすい)してから45日程度です。

【ジャガイモ】

2~3月 土づくり・種まき:畑はジャガイモが十分に根を広げて養分を吸収できるよう、深さ25~30cmほど耕します
そこへ、等間隔で種イモを植えましょう

10月 培土・追肥:草丈が15cmほどに成長したら、苗が倒れないように培土を行います。
その後は、株元に草木灰(そうもくばい)やボカシ肥などの肥料を追加しますよ。

11~3月 収穫地上部の茎葉が枯れはじめ、黄色くなれば収穫の適期です。
ジャガイモを傷つけないように、株元から少し離れた位置にスコップをさし、土を掘り下げ、茎を持ちながら収穫します。

畑作農家の1日の流れ 作業時間はオフィスワークと同じ9時間程度

畑作農家の1日の流れ 作業時間はオフィスワークと同じ9時間程度

年間のおおまかなスケジュールがわかったら、次は畑作農家の1日の流れを確認していきましょう。

畑作農家は休憩を抜いて、1日だいたい9時間程度作業します。

栽培する作物にもよりますが、基本的には畑での作業が中心で、日が出ている時間帯に作業を行いますよ。

07:00~08:00 起床・準備
08:00~12:00 ほ場管理・収穫
12:00~13:00 休憩
13:00~18:00 ほ場管理・収穫
18:00~19:00 夕食
19:00~23:00 自由時間・就寝

畑作の仕事内容 穀物栽培ならではの作業が目白押し

畑作の仕事内容 穀物栽培ならではの作業が目白押し

1日のスケジュールがわかったら、次は畑作の仕事内容を詳しく見ていきましょう。

畑の整備 作物に適した土壌づくりが必要

畑作をする上で、畑の整備は欠かせない仕事です。

良質で健康な畑があってこそ、おいしい農作物が育ちます。

そのため、栽培する作物に適した土壌・畑づくりが必要なんです。

畑を耕したり、肥料や石灰をまいて養分を調節したり、また水はけをよくするために畝(うね)を整えたりします。

麦踏み 寒さに負けない根を作る

麦類の栽培で特徴的なのが、麦踏みです。

麦踏みは、冬季に霜で小麦が浮き上がってこないように、あらかじめ根に刺激を与えて丈夫にする作業

昔は人が一列に並んで麦を踏んでいましたが、現在は機械化が進み、すべてローラーと呼ばれる農機具で行われています。

収穫 機械化で作業効率が向上

現在の収穫作業は機械化されており、「コンバイン」「ハーベスター」といった収穫用の農業機械で行われています。

なかには、収穫後の作業まで担ってくれる機能が実装されている機械もあるんです。

ジャガイモの収穫に用いる「ポテトハーベスター」は、土や葉を分離できるだけでなく、ジャガイモのサイズ選定まで行えます。

機械化が進んだことで作業効率が改善され、以前に比べ収穫にかかる時間や負担が大きく減りました

畑作のやりがい・魅力 日本人の食を支える

畑作のやりがい・魅力 日本人の食を支える

畑作をする上でのやりがいや、魅力は何でしょう。

畑作は、他の業種では味わえないやりがいがたくさんある仕事です。
農家の人たちは畑作にどんな魅力を感じているのか、見ていきましょう。

日本の食卓を支える誇り おいしく食べてもらえた時の喜びはひとしお

畑作の最大の魅力は、「食卓に欠かせない食材を作る」ところでしょう。

パンや麺の材料となる小麦、納豆のもととなる大豆、さらにカレーやコロッケに使われるジャガイモは、私たちの食生活になくてはならない食材。
そんな、食卓に欠かせない食材を作ることは、畑作農家にとっての誇りです。

愛情と手間をかけて育てた作物が食卓に並び、おいしく食べてもらえた時は、何事にも代えがたい喜びが感じられますよ。

スケールが大きい 大自然が職場

仕事のスケールが大きいことも、畑作の魅力のひとつです。

大自然の中にある畑で、作物を生産する畑作。

広大な土地での作業なので、都会のオフィスワークでは味わえないスケール感で仕事ができます。

1日の作業終わりに雄大な畑を眺めると、自身がいかに大きなスケールで仕事をしているのか実感できるでしょう。

土と向き合える 歴史を受け継ぐ

畑作によって生産される作物は、時期が来ると収穫されます。

ただ、畑に残る土は別。

次の作物、また次の作物を育て、安定した収穫を得るため、継続的に利用されます。

そんな作物を育てる上で欠かせない土と向き合うことこそ、畑作の重要な仕事であり醍醐味でもあるんです。

これまでにさまざまな人が手をかけてきた土を受け継ぎ、育て、おいしい作物を作り続ける

畑作だからこそ味わえる魅力です。

畑作はこんな人に向いている 「自然が好き」が大前提

畑作はこんな人に向いている 「自然が好き」が大前提

畑作はオフィスワークと違い、大半が自然の中での仕事。

向き不向きが分かれやすい職種なので、自分が畑作に向いているのか、これから紹介する3項目でチェックしましょう。

  • ①自然との共存を楽しめる
  • ②根気強く仕事ができる
  • ③責任感が強い

①自然との共存を楽しめる 脅威と向き合う場面も

畑作は、作業の大半を自然の中で行います

大雨や日照り、害虫や害獣の被害など、畑作の仕事は自然環境の脅威にさらされる場面もあるんです。

そんな自然と共存できて、仕事が楽しく感じられる人こそ、畑作に向いていると言えます。

また虫が苦手ではない、泥だらけになっての仕事に抵抗がないことも、畑作の仕事をする上で必要な要素です。

②根気強く仕事ができる コツコツ作業ができれば◎

土を耕したり、雑草を抜いたり、地味で根気のいる作業もたくさんある畑作。

毎日同じ作業の繰り返しになる場合も多いので、物事をすぐ投げ出してしまうような人に畑作は務まりません

日々の仕事に楽しみを見出し、コツコツと作業できる人こそ畑作に向いているんです。

また自然を相手にする畑作は、天気や気候によって予定通りに作業が進まない場合も少なくありません

そんな時でも慌てず、一つひとつ作業をこなしていける人も畑作に適していると言えるでしょう。

③責任感が強い 決めた工程をやり通す強い意思が不可欠

畑作の仕事は、おおまかな作業手順や日程を自由に決められます。

ただその分、怠けると作業工程が止まるだけでなく、育てた土や作物がダメになってしまうこともあるんです。

畑作は、決めた工程を日程通りに進められる責任感のある人でないと務まらないんですね。

物事を最初から最後までやり通す強い意思を持っている人は、畑作の仕事でも活躍できますよ。

畑作のQ&A 未経験OKって本当?

畑作のQ&A 未経験OKって本当?

Q.畑作でどんなキャリアが積めますか

A.畑作は同じ土地を使った栽培が、数年スパンのサイクルになる場合も少なくありません。
そのため作物の栽培体系を一から学べるとともに、作業を繰り返すことで畑作の手順やコツを体で覚えられます。
時間はかかりますが、ゆくゆくは農場全体の管理ができる人材になることも可能です。

Q.長期休暇は取れますか

A.取れます。

畑作は連作障害と呼ばれる作物の育成不良を防ぐため、意図的に畑を休ませる期間を設けます。
栽培する作物によって時期は異なりますが、畑を休ませている間に長期休暇を取る農家が多いです。

Q.女性でもできる仕事でしょうか

A.できます。

畑作は機械化が進んでいますので、体力面に不安のある女性の方でも安心して働けますよ。

Q.未経験でも働けますか

A.働けます。

畑作は未経験からスタートされる方が非常に多い仕事です。
経験の有無を問わない場合がほとんどなので、やる気があれば未経験でも問題ありません。
いきなり農家に就職するのが不安な方は、数時間単位で働けて畑作のノウハウを学べるアルバイトがオススメですよ。