農業の仕事をしている人のなかには、「季節労働者」と呼ばれる特殊な雇用形態で仕事をしている人もいます。

実は農業が季節労働者で一番多い産業なんです。求人でもよく見かけますよね。

この記事では、

    • そもそも季節労働とはなにか?
    • 季節労働の農業求人って?特徴やメリットは?
    • どれくらい稼げるのか?

といった点を分かりやすく解説します。

季節労働で農業を始めたい人は、この記事を読むことで現状を知り、就業後のミスマッチをなくせるでしょう。

季節労働とは

季節労働のイメージ画像

季節労働とは、季節によって繁忙期と閑散期があるため、一定期間のみ就労する雇用形態のこと。

2017年の時点で最も季節労働者が多い産業は農業であり、収穫時期や気候に影響を受ける農業では欠かせない労働力です。

農業のほかにも、製造業建設業などで多くの季節労働者が働いています。

建設業は東北や北海道などの降雪地域において、冬季の就労を避けた季節労働の求人が多いです。

なお、季節労働者は「閑散期になると仕事や収入が不安定になる」という課題があるため、政府は失業時の補助金や事業主への助成金を拡充させる動きがあります。

農業の季節労働求人の特徴

稲作のイメージ

農業における季節労働の求人には、

    • 収穫時期などの農繁期に募集
    • 住み込み求人が多い
    • 体力的負担が激しい
    • 不規則な労働時間になりやすい

といった特徴があります。

求人に申し込む前に季節労働のリアルを把握しておくと、思わぬミスマッチを防ぎます。

ただし、農家さんによって労働環境は異なるので、あくまでも一般的な環境として参考にしてください。

収穫時期などの農繁期に募集される

農業は農作物に適した季節によって、農繫期と呼ばれる忙しい時期が発生します。

東北の米農家さんを例に挙げて紹介します。

時期 作業内容
3~4月 苗を育てる
4~5月 田植え
6~7月 水の管理・追肥
9~10月 稲刈り・乾燥・もみすり

上記の米農家さんは3〜10月が「農繁期」で、11月から翌年3月までは「農閑期」となります。

住み込みの求人が多い

季節労働の求人には、寮や社宅、シェアハウスなどに住み込みで農作業をする場合があります。

農地が郊外でアクセスしにくい場合も多いので、住み込みの方が人が集まりやすいという側面も。

「住み込みの方が生活費を抑えられるから嬉しい」という人は、あえて住み込みで就農できる求人に絞って探すのもよいでしょう。

関連記事:住み込み農業は高収入?魅力と注意点、求人で見るべきポイントを紹介

体力的負担が激しい

農業全般に言えることですが、業務内容は体力を使う作業が多いため、毎日へとへとになりながら作業をこなすことになります。

とくに季節労働は短期間に集中して業務をこなすため、体力の負担もそれだけ大きいです。

農業未経験の人や、体力仕事をあまり経験してこなかった人は、仕事に慣れるまで非常にきつく感じるでしょう。

まずは、未経験でも応募可能なアルバイトや農業体験で体を慣らすのもおすすめです。

関連記事:農業バイトの口コミ!キツい?楽しい?体験談から分かる3つの注意点

不規則な労働時間になることも

農作業が想定より早く終わる、もしくは時間がかかってしまい、1日のスケジュールが立てにくくなるでしょう。

農業はほかの産業とは違い、季節や天候などの自然条件で左右される事業なので、労働基準法が一部適用外となっています。

たとえば、収穫や植え付け作業が突然の雷雨で中断され、天候が回復するまで待機することも。

季節労働はとくに、このような自然条件による変動を考慮し、所定労働時間を長めに設定している場合が多いです。

季節労働の農業求人で働くメリット

自由なライフスタイルのイメージ

季節労働の農業求人で働くのはさまざまなメリットがあります。

収入や労働時間が安定しない側面もありますが、柔軟なライフスタイルを送れるなど、自由な側面もある働き方なので、人によって向き不向きが出やすいでしょう。

季節労働という働き方に興味がある人は、以下のメリットを参考にしてください。

メリハリをつけて働ける

季節労働者132人にアンケート調査を行った結果、約3割の人が「このまま季節労働を継続」と回答しています。

「家でゆっくりしたい(閑散期)」や「通年雇用は難しい」といった回答が一番多いことから、季節労働のメリハリをつけた働き方を好む人は少なくないことが分かります。

仕事をする時期と休む時期を決めることで、プライベートの充実や別の仕事・勉強に時間を割くといった選択ができるのもメリットでしょう。

好きな仕事内容を選べる

農業の季節労働の求人はたくさんあるので、田畑・水田・果樹園など、好きな農作物の求人に応募することも可能です。

通年雇用の求人は採用のハードルが高く、一度採用されると別の農作物に触れる機会は減ってしまいます。

仕事内容や農作物でこだわりがある人は、季節労働の求人で手軽に探してみるのもいいですね。

参考:帯広・南十勝通年雇用促進協議会

仕事量次第で収入を増やせる

季節労働は特定期間のみの求人なので、契約期間が終われば別の求人に申し込めます。

閑散期はゆっくり休むのもいいですが、別の地域や農家さんのもとで働けば、それだけ収入を増やせるのも魅力です。

頑張った分だけ収入に反映されるので、体力に自信がある人や、短期間に集中して稼ぎたい人におすすめです。

農業の経験を積む機会になる

「ゆくゆくは自営農家をやってみたい」という人にとって、季節労働で集中して農業の経験を積めるのは大きなメリットです。

短期間の募集なので、いろいろな種類の農作物を扱う機会があり、自分の適性や興味関心を測るのにも役立つはず。

農業の季節労働はどれくらい稼げる?

農業とお金のイメージ画像

令和4年度季節労働者実態調査報告書によると、季節労働者の世帯年収は201~300万円が28.4%、301~400万円が24.1%という結果でした。

季節労働者の半分以上の人が世帯年収300万円以上で、8.5%の人は年収601万円以上も稼いでいます。

季節労働は閑散期に別の仕事を入れることもできるのを考慮すると、十分な収入を得られる働き方だと言えそうです。

参考:北海道 令和4年度季節労働者実態調査報告書

生活費を抑えられるのでお金がたまりやすい

移住や住み込みが必要な季節労働の求人であれば、格安で寮に住めたり、食事が支給されたりするので、生活費を抑えられます。

都心部に比べて物価も安いうえに、田舎は誘惑が少なく、お金を使う機会が減るのでお金がたまりやすいです。

普段は都心で生活している人はとくに、田舎の「お金を使わないスローライフ」を新鮮な気持ちで楽しめるでしょう。

特例一時金や助成金の支給も

季節労働者は普通の会社員とは違い、雇用保険などの社会保障が乏しいです。

しかし、一定の要件を満たせば特例被保険者として特例一時金の受給資格を得られる場合も。

社会保険制度の適用については労働条件によって決まるため、個人で判断が難しいのが現状です。

社会保険に関しては、雇い先の農家さんがきちんと把握していない可能性もあるので、所轄のハローワークで相談するのをおすすめします。

短期間の農業求人で適性をチェック

季節労働の農業求人はメリットがたくさんあり、柔軟なライフスタイルを送れる魅力的な働き方です。

農業が好きな人や、将来的に自営農家をやってみたい人はぜひ挑戦してみましょう。

また、なるべく安定して農業の仕事をしたい人は、人手不足で悩む農家さんとつながるマッチングサービス『ジモベジワークス』がおすすめです。

短期間で即日入れる農業求人が見つかるので、その日のうちに仕事に入れます。

もちろん、農業の経験を積むことにもつながるので、自営農家をやりたい人や、自由なライフスタイルを送りたい人は登録しましょう。