贈答品やギフトとしての需要が高く、高級品のイメージが強い果物。

実際のところ、どの果物が儲かるのか?どれくらい稼げるのか?
こんな風に、儲かる果物や収入が気になっている方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、農業で儲かる果物をランキング化して大公開!
粗収益や経費、所得、労働時間から時給を換算し、金額の高い順に並べました。

その他にも、果樹農家の年収や収益を上げるためのポイントなど…。
儲かる果樹農家になるために欠かせない、お役立ち情報をご紹介いたします。

果物で儲けたい、果樹農家で収益を上げたいと考えている方は、ぜひご覧ください。

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農業で儲かる果物ランキング!10a当たりの時給順に並び替え

順位品目粗収益
(千円)
経費
(千円)
所得
(千円)
労働時間
(時間)
時給
(円)
1位キウイフルーツ547192355238.151491
2位おうとう787424363307.161182
3位くり112486455.071162
4位もも566280286284.421006
5位かき378198180185.92968
6位すもも464237227259.58874
7位なつみかん305169136164.65826
8位ぶどう681339342454.69752
9位日本なし594325269366.63734
10位はっさく360233127173.59732
11位りんご413233180272.89660
12位うめ331199132223.78590
13位みかん420281139236.3588
14位びわ436220216369.6584
15位ネーブルオレンジ354226128256.39499
16位いよかん19514550145.15344

※引用:品目別経営統計(平成19年確報)┃農林水産省
※全国平均・年産・10a(1000㎡)当たり・時給小数点以下四捨五入

それではさっそく、農業で儲かる果物ランキングをご紹介します!

農林水産省の「品目別経営統計」から果樹部門の16品目をピックアップ。
10a当たりの粗収益・経費・所得・労働時間をもとに、時給を換算しました。

時給換算したときに、儲かる果物第1位に輝いたのは、キウイフルーツです。
粗収益や経費、労働時間のバランスがとれていて、1491円の高時給を叶えられます。

第2位のおうとうは、粗収益78万円、所得36万円と利益は最多ですが、時給は1182円
キウイフルーツより稼げるものの、307時間の労働が必要なため、時給はやや下がります。

第3位にランクインしたくりは、経費と労働時間が少なく、時給換算すると1162円
16品目のなかで粗収益は最安ですが、お金と労力を考えると儲かる果物といえますね。

一方、時給で考えたときにもっとも儲からない果物といえるのは、最下位のいよかん
所得も50万円と果物のなかで一番少なく、時給換算すると344円ほどにしかなりません。

儲かる・儲からないは収穫量や販売方法にも左右されますが、知識として覚えておきましょう。

ちなみに当サイトでは、「時給順の儲かる野菜ランキング」も作成しています。
果物以外の儲かる品目を知っておいて損はないので、ぜひ確認してみてくださいね。


ここからは、ランキング1位~10位の果物について、一つひとつ解説いたしていきます。

第1位:キウイフルーツ【時給1491円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
キウイフルーツ547192355238.151491

儲かる果物ランキング、堂々の第1位を獲得したのはキウイフルーツです。

粗収益約54万円、経費19万円、農業所得35万円と、収支の金額は平均値。
また労働時間も238時間と、多品目と比べてそんなに少ないわけではありません。

ただ収支と労働時間のバランスが整っているため、時給が1491円と高額になります。
儲かる果物を考えるときは、収益だけでなく、経費や労働時間も重要だとわかりますね。

くわえてキウイは、農業初心者向けフルーツの代表的な存在です。
病害虫や天候の被害を受けにくく、栽培しやすいのも魅力といえるでしょう。

第2位:おうとう【時給1182円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
おうとう787424363307.161182

儲かる果物ランキング第2位に輝いたのは、おうとう(サクランボ)

おうとうは、粗収益や所得だけ見ると、16品目のなかでもっとも稼げる果物です。
栽培や収穫に経費・手間がかかるので時給は1182円ですが、儲かる果物として人気。

難易度は高いですが、贈答用として高値がつきやすく、栽培に挑戦する方が多いです。

第3位:くり【時給1162円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
くり112486455.071162

儲かる果物の第3位は、時給1162円のくり
粗収益は約11万円と最安ですが、経費と労働時間がもっとも少ないです。

くり栽培の労働時間が55時間と短いのは、収穫に手間と人手がかからないから。
木から落ちたくりを拾って実を割るだけなので、他の果物より収穫が楽なんです。

また収穫したくりを冷蔵しておけば、長期にわたって貯蔵できるのもポイント。
基本的にフルーツは足のはやい品目が多いので、違う視点で儲けを出しやすいですよ。

第4位:もも【時給1006円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
もも566280286284.421006

時給1006円で、儲かる果物第4位にランクインしたのはももです。
粗収益56万円、経費28万円、労働時間284時間と、平均よりやや水準が高い印象。

ももは、女性や子どもから人気で、贈答用やギフト品として高値で売れやすいです。

ただ糖度が高く、実がやわらかいももは、病害虫の被害を受けやすいフルーツ。
高値で取引される美しいももを栽培するには、技術や手間が必要になるでしょう。

第5位:かき【時給968円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
かき378198180185.92968

儲かる果物ランキング第5位は、時給968円のかき
平均値よりやや低いものの、収益や経費、労働時間のバランスがとれています。

かきは初期投資が少なく、「失敗しない」と言われるほど育てやすいのが魅力です。
また、かきをボーダーに、果樹栽培の時給は1000円以下まで下がります

収穫まで何年もかかり、手入れに手間のかかる果物は、労働時間が長くなりがち。
時給換算するとどうしても金額が低くなりますが、工夫次第で十分儲けられますよ。

第6位:すもも【時給874円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
すもも464237227259.58874

すももは、時給874円で儲かる果物ランキング第6位を獲得。

ももよりも経費や手間がかからず、栽培難易度が低いのが魅力です。
また樹木が丈夫で、50年以上結実するので、長期的な目線で栽培できます。

もも農家さんの間では、これから人気になる果物として注目されているんですよ。

第7位:なつみかん【時給826円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
なつみかん305169136164.65826

時給826円で、儲かる果物ランキング第7位に選ばれたのはなつみかん
所得は約13万円と高くはありませんが、労働時間が短いぶん時給が上がっています。

なつみかんは自家結実性があるため、他の果物のように人工授粉する必要がありません。
また病害虫に強く、毎年たくさんの実が実るため、かんきつ類のなかでは育てやすいです。

第8位:ぶどう【時給752円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
ぶどう681339342454.69752

儲かる果物ランキング第8位にランクインしたのは、時給752円のぶどう

ぶどうは、房を守る袋掛けや、種を抜くジベレリン処理などに手間がかかります。
10a当たりの労働時間が454時間ともっとも多く、そのぶん時給の金額が低いんですね。

一方で、贈答品として人気のぶどうは、16品目のなかで粗収益が2番に高いです。

とくに最近はシャインマスカットの人気が高く、1kg2000円以上になることも!
栽培の手間はかかりますが、品種や栽培方法を工夫することで高収入を目指せます。

第9位:日本なし【時給734円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
日本なし594325269366.63734

時給734円の日本なしは、儲かる果物第9位にランクイン。
日本各地で栽培されていて、ブランド化に成功した果物として有名です。

日本なしは、ぶどうと比べると作業が少ないうえ、安定した人気があるのが魅力。
病害虫がつきやすく栽培難易度はやや高いですが、やりがいのあるフルーツでしょう。

第10位:はっさく【時給732円】

品目粗収益経費所得労働時間時給
はっさく360233127173.59732

儲かる果物ランキング第10位は、時給732円のはっさく

同じかんきつ類のなつみかんより手間はかかりますが、比較的育てやすい果物です。
労働時間も164時間と少なめなので、効率よく儲けられる果物のひとつといえます。

果樹農家の年収ランキング!果物別の粗収益・経費・所得から算出

品目粗収益
(千円)
経費
(千円)
所得
(千円)
うめ8,3304,1504,180
施設温州みかん14,40410,5313,873
施設ぶどう8,1944,5783,616
日本なし7,9784,3923,586
もも6,9003,8563,044
露地ぶどう6,4553,4962,959
りんご7,3834,5772,806
おうとう7,5194,7842,735
露地温州みかん6,8584,1942,664
すもも4,9232,3722,551
キウイフルーツ4,9942,8622,132
かき4,9953,2601,735
全国平均6,4203,8802,540
※引用:営農類型別経営統計(個別経営)平成30年┃農林水産省
※全国平均・1経営体当たり(経営全体)

こちらは、果樹作の経営体の粗利益・経費・所得を一覧にまとめた表
農林水産省が調査する「営農類型別経営統計(個別経営)」から引用しました。

農林水産省では、品目別に1経営体当たりの全国平均収支を調査しています。
品目によって農家数が増減するので、あくまで平均値としてご確認ください。

一般的に農家の年収とは、粗利益から経費を差し引いた「農業所得」を指します。
平成30年のデータだと、全国の果樹農家1経営体当たりの平均所得は254万円です。

農業所得別に見た場合、もっとも年収の高い果樹農家はうめ農家

粗収益833万円に対して経費415万円、所得は418万円を確保しています。
収益と経費のバランスがよく、手元に残るお金が多いのはメリットでしょう。

また収益だけで考えると、粗収益1440万円の施設温州みかんが最高値です。

ただ施設や収穫時の人件費に経費が必要なため、平均所得は387万円ほど。
収入が多くても、かかる経費によって所得は少なくなることがわかります。

その他、儲かる果物を育てている農家の年収にも注目したいところ。
儲かる果物ランキング上位5品目の年収をまとめてみると…。

儲かる果物順位品目時給年収
1位キウイフルーツ1491円213万2千円
2位おうとう1182円273万5千円
4位もも1006円304万4千円
5位かき968円173万5千円
※くり農家の農業所得は未掲載だったため割愛

時給別のランキングとは違う視点から、儲かる果樹農家の姿がみえてきますね。

儲かる果物農家になりたい!収益を上げる5つのポイント

イチゴのカゴをもった女性

  • 高単価の品種を栽培
  • 直販ルートの獲得
  • ブランド力の強化
  • 6次産業化商品の開発
  • 先端技術の開拓・導入

儲かる果樹農家になるなら、儲かる果物を理解するだけでは不十分。
ここからは、果樹栽培で収益性をあげる5つのポイントをご紹介します。

高単価の品種を栽培

品目平均価格
(円/㎏)
ナガノパープル5311
アレキサンドリア3046
シャインマスカット2342
ピオーネ1368
巨峰1343
甲斐路1136
その他ぶどう1092
デラウエア1017
東京都中央卸売市場-統計情報検索┃品目別取扱実績(ぶどう類)
※計測期間:令和3年7月~令和4年7月

こちらは、東京都中央卸売市場における「ぶどう類」の取引額を一覧にした表。
ご覧いただいた通り、同じ「ぶどう」でも品種によって価格に差がありますよね。

果物は、品種によって生産量や人気が違い、単価が大きく変わります。
とくに生産者の少ない珍しい果物は、供給が需要に追いついていない状態。

高単価の品種を選んで栽培することで、より高い収入を目指せるでしょう。

直販ルートの獲得

消費者へ果物を直接販売する、直販ルートを獲得するのも重要なポイント。

JAや卸売市場では、生産量や景気によって果物の取引額が変動してしまいます。
ですが直販なら、相場に左右されず、安定した価格で果物を販売できるんです。

またフルーツは、プレゼントや自分へのご褒美として購入する方が多いのも◎。
付加価値さえあれば、高い値段でも売れるので、利益につながりやすいですよ。

  • ケーキ屋やレストランに直接卸す
  • 百貨店や高級青果店などの販路を開拓する
  • 楽天市場やYahoo!ショッピングなどの通販サイトで販売する
  • ネット販売用のホームページを開設する

など、ご自身のできる範囲で、新たな販路の開拓を考えてみてくださいね。

ブランド力の強化

最近では、産地が一体となって果物のブランド化を進める事例が増えています。
果樹産地の発展のために、各地域の自治体やJAが協力して動いているんですね。

  • 指導会を実施して果物の品質を均質化
  • 品種の商標登録を行い、ブランドを守る
  • 選果データから需要の多い品種を割り出して生産を拡大
  • 消費者のニーズにあわせて新品種を育成

など、さまざまな角度から、産地が一丸となって果物のブランド化を図っています。
ブランド化することで、産地内外での高単価が実現し、収益の増加が見込めますよ。

6次産業化商品の開発

6次産業化とは、農家が生産(1次産業)だけでなく、製造・加工(2次産業)、販売・サービス業(3次産業)まで一気通貫で取り組むこと。

生産物に付加価値をつけ、販売方法を工夫することで、収益を拡大しています。
また加工品にすることで、見た目の悪い果物をムダにせず、利益を生み出せるのも◎。

果物の場合、ジュースやジャム、シロップなどに加工して販売するケースが多いです。

ただし「6次産業化すれば売れる」というわけではないので注意が必要。
ターゲットを設定して魅力的なコンセプトを打ち出し、他の商品と差別化を図るのが重要です。

先端技術の開拓・導入

果物の栽培・収穫は、ほぼ手作業で行われているため、多大な労働力が必要です。
儲けを考えるなら、できるだけ少ない手間暇で、より高品質な果物を栽培するべき。

そこで注目されているのが、先端技術の開拓と導入です。
AIやロボット、IoTなどを用いて、労働生産性を向上させることが目的。

たとえばリンゴの受粉に、スピードプレヤーという機械を導入すると…。
33名で20時間かかっていた作業が、1名で1時間ほどで終わるんです!(1ha当たり)

また先端技術の導入によって労働生産性が高まると、品質と生産量も安定します。
果物に限らず、労働力の確保が問題になっている農業界に大きく貢献するでしょう。

儲かる果物農家になるなら!情報収集して稼ぐ方法を考えよう

ミカン農家を営む夫婦

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
時給別の儲かる果物と品目別の年収を紹介しましたが、いかがでしたか?

一般的に儲かるといわれている果物は、おうとうやかき、ももなど。
ですが時給や年収別でみると、違う観点から儲かる果物がみえてきます

果樹農家として儲けるためには、土地の特性や栽培技術、ノウハウが必要。
さまざまな観点から儲かる方法を考えて、実践してみるのがオススメです。

もし農業で儲けたいなら、先輩農家に直接会ってみるのもひとつの手

果樹農家さんからノウハウを聞いたり、実際の現場を訪問したり…。
生きた農業の情報を得ることで、儲かるヒントが見つかるかもしれません。

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気になる地域の土壌や気候を確認したり、品目の栽培方法を教えてもらったり…。
農業バイトで収入を得ながら、効率よく果樹農家の知識やスキルを得られますよ。

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