新規就農を検討している人は「土地はどうやって買えばいいのだろう?」「どのような土地が農業に向いているのかな?」という疑問が湧くでしょう。

たしかに、土地の買い方だけでも詳しく知らないのに、農地となるとより複雑そうですよね。

結論からお伝えすると、農地は法律を知ったうえで行政機関を利用すれば、安心して購入・借入ができます!

ただ、どんな法律で、どこの行政機関があるかも分からなくて不安になるかもしれません。

本記事では、購入・借用それぞれの農地の取得方法をはじめ、土地の選び方について紹介します。

新規就農を希望していて土地について理解したい方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。

新規就農者向け|農地の取得方法

新規就農したい場合、何をどのようにしたら農地を手に入れられるのでしょうか?

農地法を理解する
農地を探す
農業委員会の許可を受ける
土地を購入する

農地を購入する流れはこちら。
土地の取得方法を、順を追って簡単に解説します。

農地法を理解する

農地法とは、農地の所有・売買・利用方法など、農地に関する基本的な仕組みを定めた法律です。

農地法を理解していないと、農地を取得できなかったり、知らないうちに法律を犯したりしてしまう恐れがあります。

農家になりたいなら大前提として知っておかなければなりませんので、概要だけでも把握しておきましょう。

また、農地法で決められた以下の条件に当てはまらないと新規就農はできないので、農地を取得する人やその世帯員は必ず目を通してください。

  • 適切な営農計画を持ち、取得する農地のすべてを耕作して利用すること
  • 必要な農作業に常時従事すること(原則年間150日以上)
  • 原則として北海道(道南を除く)では2ha以上、都府県では50a以上の面積の農地を経営すること
  • 農作業が、周辺の農地の利用に支障を生じさせないこと

上記の他にも細々とした条件や制約があるので、しっかり理解したい人は農林水産省や各市町村のホームページをご確認ください。

農地を探す

農地法の概要が分かったら、次は農地を探しましょう。

農業用の土地を探すなら、「全国農業委員会ネットワーク機構(一般社団法人全国農業会議所)」が運営・管理する「全国農地ナビ」の利用がおすすめです。

全国農地ナビでは、所有者が売買・貸与したい土地や、「農地中間管理機構(農地バンク)」が買い手を募集している農地の情報を閲覧できます。

一般社団法人全国農業会議所が、農地の権利関係や利用状況、農地所有者の意向を元に情報を発信しているため、信頼性が非常に高く、安心して土地を探せますよ。

全国農地ナビでは土地の住所や地目といった条件を細かく設定して検索できるので、自分が就農したい土地を素早くチェックしたい人はぜひ利用してみましょう。

農業をはじめた時に「思っていた環境と違う!」と後悔しないように、購入を検討している土地には、事前に足を運んでおくのが懸命です。

農業委員会の許可を受ける

農業委員会とは農地の貸借や購入などを管理している機関で、市町村ごとに設置されています。

事前に土地の売主・貸主との協議を進めたうえで、就農計画書や営農計画書などの必要書類を提出し、農業委員会の許可が下りれば新規就農が可能です。

条件に当てはまらなかったり、書類に不備があったりすると審査は棄却されるので、申請前に綿密に確認しておきましょう。

許可が下りると、農地を取得する資格があると認定され、農家として農業の経営に携われるようになります。

土地を購入する

安心して健全な新規就農をするためにも、行政機関から土地を購入するのは必須です。

農地中間管理機構や農業委員会といった行政機関を介して、土地を購入しましょう。

行政機関を通せば、騙されて荒れ地や所有者不明の土地を買わされる心配がありませんし、貸主と直接交渉しなくて済むので、確実に良質な農地が手に入ります。

ちなみに、令和元年度の農地(田んぼ)の全国平均価格は、10アールあたり116万5000円ですので、資金は足りそうか検討しておきましょう。

借用する方法もある

農地は購入せずに、借用する方法もあります。

土地を購入すると、不動産取得税や固定資産税が非常に多くかかるので、農業をはじめたいときに大きなネックになりますね。

しかし、土地を借りれば税金の額が低くなるため、新規就農のハードルもかなり下がります

農地法を理解し、農業委員会の許可を受ける流れは購入時と変わりませんので、新規就農で土地を借用する際のポイントを見てみましょう。

借りやすい耕作放棄地がおすすめ

「耕作放棄地」とは、農作物が1年以上作付けされず、農家が数年以内に作付けする予定が無いと回答した田畑や果樹園を指します。

貸主は常に使ってもらえる農家を探しているケースが多いため、新規就農者でも貸してもらいやすいのが特徴です。

ただし、長年にわたり耕作されていない場合は、雑草だらけで土地が痩せている可能性があります。

除草剤や肥料といった初期投資が必要になるかもしれませんので、借りる前に事前調査を怠らないようにしましょう。

農地保有合理化事業を利用する

農地保有合理化事業とは、都道府県の農業公社が農家に土地を5年〜10年貸し付けたあとに売り渡すという制度です。

地主との借入交渉に関わる面倒事や各種手続きは、農地保有合理化法人や農業委員会が引き受けてくれるので、借入期間中は安心して耕作できるのがメリット。

「いきなり土地を買うのは気が引けるけど、いつか自分の農地が欲しい」「土地は買いたいけど、今すぐには購入できない諸事情がある」といった方が利用しやすいでしょう。

気になる場合は、各市町村の農業委員会か農地保有合理化法人へ相談してみてくださいね。

「ヤミ耕作」に注意する

農業委員会を通さないで、個人間で農地の貸し借りを行うことを「ヤミ耕作」と呼びます。

「親戚や知人だから、口約束で農地を貸して(借りて)いる」「行政手続きが面倒だから、情報を更新していない」といったケースが多く、トラブルのもとになる危険な行為です。

突然地主に「農地を返せ」と言われたり、相続が発生した場合に借主が誰か分からなくなったりするなどの懸念点があるため、ヤミ耕作には関わらないように注意してください。

ヤミ耕作は農地法違反に当たるので、必ず農業委員会を介して土地を借りましょう。

農地の選び方

農地の買い方・借り方が大まかに分かっても、具体的にどのような土地を選べばいいか悩みますよね。

以下に農地の選び方を紹介しますので、自分が手に入れたい土地の条件や基準の参考にしてみましょう。

通いやすい場所にあるか

土地選びで最も重要視するべき点は、「農地が自宅から通いやすい場所にあるかどうか」です。

理由は、ほぼ毎日農地に通って作業をする必要があるため、往復に時間と体力を使うと億劫になってしまうから。

またアラレやヒョウ、台風といった自然災害は予想できないので、万が一の事態に備えて、すぐに駆けつけられる位置に農地があると安心できるでしょう。

日照条件は野菜にとって最適か

土地が日当たりの良いところにあるかも要チェックです。

農地のすぐそばに大きな山や建物、森や林がないか、土地の購入・借入前に現地に赴いて確認してください。

トマト・ナス・ピーマンなどの直射日光を好む野菜は、日があまり当たらない場所だと元気に育たず不作になる恐れも…。

反対に、直射日光が当たると葉焼けを起こしやすいニラ・シソ・ミツバといった野菜は、日陰がある環境になりそうか検討しましょう。

土質が育てたい野菜に向いているか

野菜作りに向いている土質は、水はけと水もちが良く、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどの栄養素を多く含んでいます。

また、根がたくさん張れるように、適度にやわらかいかどうかもチェックポイント。

さらに酸・アルカリの強さを表すpH(ペーハー)の最適値は、野菜の種類ごとに異なるので、前もって確認しておきましょう。

(例)

・pHが5.0〜6.0の酸性に傾いた土地ではサツマイモ・ジャガイモ・ニンジンなどが向いている
・pHが6.0~7.0のアルカリ性に傾いた土地ではダイコン・キャベツ・アスパラガスなどが向いている

拡張性があるか

仮に農業が軌道に乗り、農地の面積を増やしたいと考えた場合、すぐに土地を確保したいですよね。

そのような場合を想定して、所有したい土地に拡張性があるかどうかも土地選びの条件に入れておきましょう。

買いたい・借りたい土地と広げたい土地が同じ貸主だと、安い費用で譲ってもらえる可能性があるので、貸主も一緒に確認しておくのをおすすめします。

出荷先が近所にあるか

農作物を出荷する場合、運搬距離が長いと出荷途中に野菜の品質が落ちることが危惧されます。

そのため、農地と出荷先はできるだけ近い方が良いでしょう。

もし自分で運搬をしない場合は、運送業者がすぐに集荷に来てくれる場所かどうかを調べておくと安心できますね。

農地取得を考えている新規就農者の方へ

農家

本記事では新規就農者の方に向けて、農地の取得方法や探し方などについて紹介しました。

農地法を把握したり、農地中間管理機構や農業委員会といった行政サービスを利用したりと、農地を取得するにはやや手間がかかります。

とはいえ、今回ご紹介した内容は新規就農にとって大事なポイントですので、しっかり調査・確認しておきましょう。

ただそれでも、今の自分に農地取得や借用はハードルが高いと感じるようであれば、まずは当サイトで運営している「ジモベジワークス」を利用してみてください。

農地取得や借用に興味はあるものの、農業自体の経験が乏しく将来への自信を持てないのであれば、経験値を積んでからでも遅くはありません。

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出勤日や時間を自分で組めるため、自由度を高くして農業のお仕事に携われます。

また、お仕事は基本的に1日単位なので、さまざまな農家さんや農地と出会えるんです!

農家さんに農業について話を聞いたり、希望に沿った土地を探したり…。
農業に携わりながら、新規就農の情報も集められるので、一石二鳥ですよ。

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