2015年から2020年の5年間で、46万人も減少している日本の農業人口。
農家の高齢化や人手不足による負担の増加、人材獲得競争の激化など…。
2020年以降も、日本の農業人口はさまざまな原因で減り続けています。
農業は、安全な国産食材を私たちの食卓へ届けてくれる重要な産業。
農業人口が減少すると、国産食材の値段が上がったり手に入らなくなったり…。
食や暮らしに直結するため、日本に住む人全員に大きく関わってくる問題です。
この記事では、農林水産省のデータをもとに日本の農業人口の推移をグラフ化。
さらに、農業人口が減少している理由と実際に行われている解決策を紹介します。
日本の農業の現状と今後を知って、私たちができることを考えてみましょう。
農業人口の推移
2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
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農業人口 | 1938.5 | 1874.1 | 1974.0 | 1833.6 | 1747.4 | 1690.7 | 1640.2 | 1519.8 | 1449.8 | 1377.3 |
基幹的農業従事者 | 1741.8 | 1678.9 | 1753.8 | 1586.1 | 1507.1 | 1450.5 | 1404.1 | 1363.0 | 1302.1 | 1225.5 |
常雇い | 196.7 | 195.2 | 220.2 | 247.5 | 240.3 | 240.2 | 236.1 | 156.8 | 147.7 | 151.8 |
まずは、農林水産省のデータをもとに、日本の農業人口の推移をグラフにしてみました。
「農業人口」とは、1年間の労働日数のうち、農業に従事した日数がもっとも多い人のこと。
農業人口のなかでも、農業を主な仕事とし、自営している人は「基幹的農業従事者」です。
また農業法人や個人農家に雇用されて農業に従事する人は、「常雇い」として分類されます。
冒頭でもお伝えしましたが、日本の農業人口は年を重ねるごとに減少。
2013年には約194万人いた農業人口が、2022年には約138万人まで減っています。
年齢別の農業人口
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
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基幹的農業従事者 | 175.7 | 158.6 | 150.7 | 145.1 | 140.4 | 136.3 | 130.2 | 122.6 |
65歳以上 | 114 | 103.1 | 100.1 | 98.7 | 97.9 | 94.9 | 90.5 | 86 |
64歳以下 | 61.7 | 55.5 | 50.6 | 46.4 | 42.5 | 41.4 | 39.7 | 36.6 |
平均年齢 | 67.1 | 66.8 | 66.6 | 66.6 | 66.8 | 67.8 | 67.9 | - |
続いて、年齢別の農業人口と平均年齢を確認してみましょう。
自営農家である基幹的農業従事者を、65歳以上と64歳以下にわけてグラフ化しました。
どちらも減少していますが、全体の7割を占めているのは65歳以上。
平均年齢も67歳を軸にしながら、徐々に上がってきています。
年齢別に農業人口を見ると、農家の高齢化が進んでいることがすぐにわかりますね。
新規就農者の推移
2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
新規就農者 | 57.7 | 65 | 60.1 | 55.6 | 55.8 | 55.8 | 53.8 | 52.3 |
新規自営農業就農者 | 46.3 | 51 | 46 | 41.5 | 42.8 | 42.7 | 40.1 | 36.9 |
新規雇用就農者 | 7.7 | 10.4 | 10.7 | 10.5 | 9.8 | 9.9 | 10.1 | 11.6 |
新規参入者 | 3.7 | 3.6 | 3.4 | 3.6 | 3.2 | 3.2 | 3.6 | 3.8 |
減少や高齢化が進む農業人口に対して、新規就農者にはどういった傾向があるのでしょうか。
農林水産省の「新規就農者調査結果」をもとに、新規就農者の推移もグラフにしてみました。
ちなみに新規就農者は、大きく3つの就農形態にわけられます。
- 新規自営農業就農者:家業として農業を継いで農家になる人
- 新規雇用就農者:農業法人や農家に雇用されて働く人
- 新規参入者:土地や資金を独自で調達して農家として独立した人
グラフを見ると、もっとも割合の多い新規自営農業就農者は減少していますが…。
新規雇用就農者と新規参入者は、ここ数年わずかながら増加傾向になっています。
しかも新規雇用就農者と新規参入者の、3分の2以上が49歳以下の若年層。
農業人口は減少しているものの、若者農家が増えているのは明るい兆しですね。
農業人口が減少している理由と問題点
ここまで農業人口の推移を確認してきましたが、いかがでしたか?
グラフをご覧いただいたとおり、日本の農業人口は減少傾向にあります。
日本の農業人口が減少している主な理由は、こちらの3つ。
- 基幹的農業従事者の高齢化
- 人手不足による農家の負担増大
- 人材確保の難易度がアップ
それぞれの理由と問題点について、詳しく解説していきます。
基幹的農業従事者の高齢化
基幹的農業従事者とは、主な仕事として自営農業に従事する、いわゆる専業農家のことです。
農業人口が減少している主な理由は、新規就農者より、高齢でリタイアする農家の方が多いから。
「年齢別の農業人口」でもご紹介したとおり、日本の基幹的農業従事者の平均年齢は67歳です。
農家の平均年齢は毎年すこしずつ上昇していて、農家さんの高齢化が進んでいるとわかります。
高齢化の問題点は、農業人口が減り、人手不足が深刻化するだけではありません。
熟練農家の技が、伝承されないまま消えていってしまう危険性をはらんでいるんです。
たとえば、ミカンやリンゴなどの果樹生産では、間引きや病害虫の対応にノウハウが必要。
長年農業に従事してきた農家の技術がないと、品質維持や生産が難しくなってしまいます。
高度な技術が必要な農産物は、生産が困難になり、手に入らなくなる可能性も…。
農業人口の減少は、私たちの食や暮らしに直結する大きな問題だとわかりますね。
人手不足による農家の負担増大
農業人口の減少は、農家の人手不足を深刻化し、個々の負担を増大しています。
さらに高齢化で労働力も低下しているため、農業に従事するのが困難になっているんです。
農地の管理や整備が行き届かなくなったり、農作業が追いつかなくなったり…。
負担が増えたことで、結果的に農業を辞める選択をする農家さんも少なくありません。
また、作物の栽培に欠かせない基幹的水利施設が老朽化しているのも課題のひとつ。
基幹的水利施設とは、農業用水を農地へと運ぶ、ダムや水路などの施設のことです。
大規模な基幹的水利施設の多くは、高度成長期に国や都道府県によって整備されました。
ただ2010年ごろから、経年劣化が原因で施設の破損や倒壊などの突発事故が増えています。
ただでさえ農業経営が苦しいのに、施設の破損で大きなダメージを受ける農家さんが増加中。
高齢化の影響もありますが、負担が増大していることで農家のリタイアに拍車をかけています。
人材確保の難易度がアップ
こちらは、厚生労働省「職業安定業務統計」から農林漁業の有効求人倍率をまとめた表。
有効求人倍率とは、1人の求職者に対して、何件の求人があるかを示す数値になります。
有効求人倍率が1より高ければ、求職者の需要が高く、企業が働き手を求めている状態。
対して1より低い場合は、求職者の需要が低く、働き手の就職は難航しやすい状態です。
ご覧いただいたとおり、農林漁業の有効求人倍率は、年々上昇傾向にあります。
また2021年の有効求人倍率は1.3倍と、全業種の平均1.13倍と比べても高いです。
人手不足が叫ばれるなか、農業界では年々人材確保が難しくなっている状態といえます。
国民の食を支える農業の衰退を食い止めるためにも、新規就農者の確保は重要な課題です。
農業人口を増やすには?実際に行われている解決策と対策
日本の農業人口減少は、私たちの食や暮らしに大きな影響を与える問題です。
このまま放っておくと、ただでさえ低い食料自給率がどんどん低下する可能性大!
国産食材の価格が高騰するだけでなく、手に入れることすら難しくなるかもしれません。
農業人口の減少を食い止めるには、どんな解決策があるのでしょうか。
ここからは、農業人口を増やすための3つの対策をご紹介いたします。
農業の働き方改革
農業人口を増やすための対策のひとつが、農業の働き方改革。
農業には、「キツい・汚い・危険」、いわゆる3Kのイメージが根強く残っています。
数ある産業のなかから農業を選んでもらうには、農業自体のイメージアップが不可欠。
- 農業経営者が労働環境や働き方を見直す
- 働きやすさややりがいのある職場環境を作る
- 農業人材を育成し、次の世代へつなげる
など、農業経営者が中心となって、生産性が高く人に優しい環境作りを目指しています。
実際に、働き方改革に共感し、実行宣言をしている農業経営者が全国に沢山いるんですよ。
働き方改革が進めば、就職の選択肢として農業が選ばれる可能性が広がっていくでしょう。
新規就農者の確保と定着
農業人口を増やすためには、新規就農者をいかに確保していくかが重要。
農林水産省を中心に、農業に興味のある人材へリーチする取り組みが行われています。
- 就農情報ポータルサイト「農業をはじめる.JP」の開設
- 農業就業体験の実施
- 新規就農相談会の実施
など、農業を知ってもらったり、就農を後押ししたりする活動がメイン。
くわえて、新規就農者を支援する補助金や制度の整備も進められています。
また民間企業でも、農業の人手不足を解消するための人材紹介サービスが続々と登場。
農家さんと働き手を結びつける、求人サイトやマッチングアプリが増えているんです。
当サイトジモベジワークスも、農家と働き手を1日単位で結びつけるマッチングサービス。
スマホさえあれば求人の募集も応募も簡単に行えるため、農業で働くハードルが下がります。
- 農家さんは、ピンポイントで人材を手軽に確保できる
- 働き手さんは、スマホ応募で簡単に農業バイトへ挑戦できる
こんな風に、人手不足を解消しながら、農業へ興味をもつきっかけ作りをしているんですよ。
農業バイトに興味のある農家さん、働き手さんは、ぜひ詳細をチェックしてみてくださいね。
女性農業者の参画推進
女性農業者は、日本の基幹的農業従事者の約4割を占めています。
ですが、経営主や農業委員・役員など、農業経営に関与している女性は1割程度。
また農林水産省のデータによると、売上規模の大きな経営体ほど女性が経営に関与しています。
農業を盛り上げて、人口を増加していくには、もっともっと女性農業者の力が必要。
そのため農林水産省は、2013年から「農業女子プロジェクト」を開始したんです!
農業女子プロジェクトとは、女性農業者の活躍を応援し、新規女性就農者を獲得する活動。
大手企業と一緒に農業商品を開発したり、教育機関と連携して農業体験の授業を行ったり…。
女性ならではの視点を活かしながら、新しい農業の魅力や働き方を発信しているんですよ。
農業人口の減少を食い止めるには?身近にできることからはじめよう
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
農業人口の推移と減少している理由、増やすための解決策をご紹介しました。
高齢化を主な理由として、日本の農業人口は年々減少しています。
私たちの食と暮らしを支える農業の衰退は、国をあげて解決すべき問題。
そのため農林水産省を中心に、農業の働き方改革や新規就農者の確保が進められています。
ただ農業人口の減少を食い止めるためには、日本に住んでいる私たち一人ひとりの力が不可欠。
農家の方は、労働環境の見直しや情報発信など、身近にできることからはじめてみましょう。
また農家でない方は、農業について調べてみたり、実際に体験したりしてみるのがオススメ。
農業について学ぶことで、農家のイメージが変わったり、危機感を抱いたりするかもしれません。
さらにもし時間があるのなら、農業体験をすることで、人手不足の農家さんを直接助けられます。
当サイトジモベジワークスは、人手不足の農家と働き手を結びつけるマッチングサービスです。
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