「日本の食料自給率が低いって本当?」
「何が原因で食料自給率が低いの?」
記事を読んでいる方は、こんな疑問を持ったことがあるかと思います。
日本の食料自給率が低いと将来、食料が不足するのではないかと不安になりますよね。
結論からお伝えすると、日本の食料自給率は38%(カロリーベース ※1)で、諸外国の平均に比べてかなり低いです。
世界の主要8ヶ国(※2)の平均は114%。
なぜ75%も差があるのか、理由は日本人の食生活の変化です。
この記事では農林水産省のデータを基に、日本の食料自給率の現状を詳しく解説!
世界の食料自給率や、米・小麦など品目別の食料自給率も併せて説明していきますよ。
日本の食料自給率を上げるために、私たちができる方法は何なのか、一緒に考えてみましょう!
※1:カロリーベース…国民が摂取する熱量のうち、国産食材の熱量がどのくらいかを表した指標。
(計算式…国民1人当たり1日の国産食材で摂取する熱量÷国民1人当たり1日の供給熱量×100)
※2:主要8ヶ国…アメリカ・カナダ・ドイツ・フランス・イタリア・イギリス・スイス・オーストラリア
日本の食料自給率が低い理由とは?
日本の食料自給率が低いわけは2つあります。
- 日本人の食生活が変化
- 高齢による農家の減少
元々、日本の食料自給率は低くなく、1965年は73%でしたが、食生活の変化により主食の米をあまり食べなくなりました。
日本は米の生産が97%(重量ベース)で、国民をほぼ賄えます。
※重量ベース…国内で消費された食料がどのくらい国産の食料だったかの割合を表した指標
(計算式…食料の国内生産量÷国内市場に出回った食料の量×100)
食生活が変わって米を食べる量が減り、カロリーが高い食材(肉類や油脂類)を多く摂取するようになった結果、日本人の摂取熱量が多くなり、食料自給率は低下したわけです。
さらに、肉類を育てていくには飼料が必要。
飼料の多くは輸入に頼っており、2021年の飼料自給率は27%(肉用牛)です。
外国から飼料を輸入している分、食料自給率の割合は減ってしまいます。
そして、高齢化による農家の減少に伴い、耕作放棄地が増えている現状も、日本の食料自給率が低い一因です。
輸入に頼ると起こる2つのリスク
「食料自給率が低くても、別に良くない?」
「海外から食料を輸入すればいいじゃん!」
と考える方もいますよね。
食料自給率が低く、輸入に頼ってしまうと、日本の食料が不足するかもしれません。
理由は2つあります。
1.自然現象や天災によるリスク
輸入するには船や飛行機で、食料を運んでもらいますよね。
運搬中に大雨や暴風などの自然災害が起きてしまうと、どうでしょう。
一定期間、日本へ食料が運べなくなります。
そうなると、お店に並ぶ食料が品切れになってしまい、消費者の手に入らなくなるのです。
2.世界の人口が増加して日本へ食料が輸出されなくなる
現在、世界の人口は79億5400万人(世界人口白書2022)。
1950年は25億人、1975年は40億人、2000年は60億人と増え続けています。
さらに2050年には100億人を超えるそうです。
農業の技術が進んだおかげで、生産量はアップしていますが、世界の農地面積はほぼ変わりません。
農地面積を増やしていない現状では、これ以上の生産量を望むのは難しいでしょう。
世界的に食料が不足してしまうと、自国の食料を優先するため、日本に輸出する考えはなくなります。
輸入に頼ると、日本では生産しにくい食材が手に入る一方で、輸出できない事態が起こると、食料が足りなくなるのです。
日本の食料が不足する前に、対策が必要になってきます。
カロリーベースではなく、生産額ベースで考えると低くない
「そんな問題があるなんて知らなかった……」
「食料がなくなっちゃうなんて恐ろしい……」
と思うかもしれません。
でも実は、カロリーベースではなく生産額ベースで考えると、日本の食料自給率はそこまで低くないのです。
農林水産省のデータで確認し、日本の食料自給率を生産額ベースにすると63%(2021年)になります。
冒頭でもお伝えしましたが、『カロリーベース』とは、国民が摂取する熱量のうち、国産食材の熱量がどのくらいかを表した指標。
(計算式……国民1人当たり1日の国産食材で摂取する熱量÷国民1人当たり1日の供給熱量×100)
また、『生産額ベース』とは、食料をお金に換算した指標のことです。
国内で生産された食料額が、国内でどのくらい消費されたかを割合にしています。
(計算式……国内の食料生産額÷国内に出回った食料の額×100)
食材廃棄が多い日本では、廃棄された食料もデータに含まれるため、カロリーベースの食料自給率が下がってしまうのです。
ただ、世界的に見ても生産額ベースは、そこまで低くありません。
世界の食料自給率はどうなっているのか見ていきましょう!
世界の食料自給率のグラフとランキング
引用:その2:食料自給率って低いと良くないの?(農林水産省)
上記のグラフをランキングにすると、以下のようになります。
順位 | 国名(カロリーベースの割合) | 国名(生産額ベースの割合) |
---|---|---|
1位 | カナダ(233%) | オーストラリア(126%) |
2位 | オーストラリア(169%) | カナダ(118%) |
3位 | フランス(131%) | アメリカ(90%) |
4位 | アメリカ(121%) | イタリア(84%) |
5位 | ドイツ(84%) | フランス(82%) |
6位 | イギリス(70%) | ドイツ(64%) |
7位 | イタリア(58%) | 日本(63%) |
8位 | スイス(50%) | イギリス(61%) |
9位 | 日本(38%) | スイス(50%) |
日本のカロリーベースは9ヶ国中、最下位。
生産額ベースは、スイスとイギリスを抜いて7位になっています。
なぜ、生産額ベースはカロリーベースに比べて、順位が上がるのか。
理由は、2つあります。
- カロリーベースの食料自給率は、熱量が高い食材に影響されるため
- 生産額ベースの食料自給率は、単価の高い食材(野菜や畜産物、魚介類等)の影響が大きいから
諸外国では、肉類や油脂などのカロリーが高い食料を多く生産しています。
逆に日本では、野菜や鶏卵などのカロリーが低い食料を多く生産しているので、食料自給率が低くなるのです。
また日本では輸入品より、国産のほうが高価な食材が多数。
そのため国内生産額が上がり、生産額ベースの自給率が高くなります。
カナダやオーストラリアの食料自給率が高い理由は?
カナダやオーストラリアの特徴といえば、広大な土地があること。
農地が広く、豊富な食材を育てられるから、食料自給率が高くなるのです。
さらに飼料にできるとうもろこしの栽培が盛んなので、たくさんの家畜を生産できます。
大量に生産された食材は外国に輸出するため、100%を超える食料自給率になるのです。
世界の品目別の食料自給率を比較!米や小麦の自給率も併せて紹介
日本人の主食として定着している米と小麦、野菜、肉、魚介などの食料自給率を表にしました。
これらの食料自給率は日本と外国でどれほど違いがあるのか、品目別で確認してみましょう。
これからご紹介する表は、重量ベースにて説明していきます。
日本
年 | 穀類 | 食用穀物(小麦) | いも類 | 豆類 | 野菜類 | 果実類 | 肉類 | 卵類 | 牛乳・乳製品 | 魚介類 | 砂糖類 | 油脂類 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 28 | 62(16) | 73 | 7 | 79 | 38 | 52 | 96 | 59 | 53 | 34 | 13 |
2020 | 28 | 64(15) | 73 | 8 | 80 | 38 | 53 | 97 | 61 | 55 | 36 | 13 |
2021 | 29 | 63(17) | 72 | 8 | 79 | 39 | 53 | 97 | 63 | 57 | 36 | 14 |
※単位=%
★穀類は玄米
★食用穀物は小麦・らい麦・米及びその他の食用穀物(そばを含む)
引用元:食料需給表(農林水産省)
直近3年間の数値を見てみると、食料自給率はすべて100%を下回っています。
しかし昔から親しまれている食材の自給率は高く、米は97%、鶏卵は96%、野菜は79%です。
理由は日本人にとって馴染みが深いのと、輸出入がしにくいから。
卵や野菜など日持ちしにくい食材は国内で消費するため、一部の食料自給率は100%に近くなります。
海外
国名 | 穀類 | 食用穀物(小麦) | いも類 | 豆類 | 野菜類 | 果実類 | 肉類 | 卵類 | 牛乳・乳製品 | 魚介類 | 砂糖類 | 油脂類 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フランス | 187 | 183(200) | 138 | 79 | 68 | 64 | 102 | 98 | 104 | 29 | 204 | 85 |
ドイツ | 101 | 114(125) | 124 | 13 | 41 | 31 | 120 | 70 | 106 | 27 | 126 | 94 |
スペイン | 57 | 61(54) | 65 | 10 | 216 | 139 | 145 | 117 | 89 | 59 | 31 | 63 |
スウェーデン | 137 | 137(140) | 85 | 83 | 34 | 5 | 70 | 102 | 83 | 69 | 95 | 21 |
スイス | 45 | 42(44) | 84 | 38 | 48 | 40 | 78 | 63 | 101 | 2 | 66 | 37 |
カナダ | 185 | 327(351) | 138 | 314 | 59 | 24 | 139 | 91 | 95 | 93 | 11 | 297 |
オランダ | 11 | 17(19) | 181 | 0 | 325 | 39 | 326 | 166 | 162 | 129 | 161 | 48 |
オーストラリア | 181 | 191(204) | 92 | 198 | 93 | 103 | 166 | 98 | 106 | 33 | 331 | 92 |
イタリア | 61 | 72(62) | 55 | 39 | 151 | 104 | 81 | 99 | 86 | 17 | 15 | 33 |
イギリス | 97 | 94(99) | 89 | 53 | 42 | 12 | 75 | 94 | 89 | 65 | 57 | 54 |
アメリカ | 116 | 167(158) | 102 | 172 | 84 | 61 | 114 | 104 | 101 | 64 | 65 | 89 |
※単位=%
※2019年
★穀類は玄米
★食用穀物は小麦・らい麦・米及びその他の食用穀物
引用元:食料需給表(農林水産省)
一方で海外の食料自給率を見てみると、どの国も品目別では100%を超える食材があります。
各国によって違いはあるものの、土地の強みを活かして高い生産率を誇っているのです。
2030年度の食料自給率の将来目標
日本と諸外国のデータを見てみると、ほとんどの食材で日本の食料自給率は劣っています。
「このままで日本は大丈夫かな?」
「ちゃんと日本は対策を打つの?」
という声があるかと思います。
でも、ご安心ください!日本は食料自給率を上げようと対策を考えています。
農林水産省は2030年度、以下の食料自給率を目標に掲げているのです。
- 45%(カロリーベース)
- 75%(生産額ベース)
この目標を達成するために、日本ではさまざまな施策を講じています。
農林水産省の『知ってる︖⽇本の⾷料事情2022』によると、3点の施策を実施中!
一部抜粋してお伝えしていきます。
農業の担い手育成や確保、加工・業務用の需要への対応、農地集積・集約化の加速化など、すべての品目に対してできる対策を立てています。
2.⽣産⾯の施策(品⽬別施策)
小麦・大豆→国内産に変換できるように、新品種を開発
畜産物→生産性の向上や規模拡大、繁殖雌牛の増頭を推進
野菜→機械化や一貫化をして、環境制御技術を利用した生産性の向上
果実→手間がかからないように樹木を整備、機械の導入で生産性を向上
3.需要⾯の施策
海外へ国産食材の輸出、消費者や食品産業関係者による国産食材の消費拡大を行っています。
引用元:知ってる︖⽇本の⾷料事情2022
以上の3点を基に、食料自給率が上がるための施策を実行しているため、これから日本の食料自給率は上がっていくのではないでしょうか。
日本の食料自給率を上げるには国産食材を食べて応援する!
「私にできることっていったい何だろう……」
ここまで読んでいる方は、こんなふうに思うかもしれません。
でも、心配しなくても大丈夫!今すぐに食料自給率を上げる方法があります。
それが国産の食材を食べること!
農林水産省によると、カロリーベースの食料自給率を1%上げるには以下の行動が必要です。
- 米をもうひと口(14g)/1日
- 国産米粉パンをもう6枚(360g)/1ヶ月
- 国産大豆100%使用の豆腐をもう2丁(563g)/1ヶ月
- 国産小麦100%使用のうどんをもう2玉(600g)/1ヶ月
引用元:知ってる︖⽇本の⾷料事情2022
このくらいならできると思いませんか?
日本で作られた食材を食卓に少し加えるだけで、食料自給率はアップするのです。
農林水産省は他にも、食料自給率を向上させるスローガンを掲げています。
それが『FOOD ACTION NIPPON』!
食料自給率を上げる5つの目標を発表しています。
- 「いまが旬」の食べものを選びましょう
- 地元でとれる食材を日々の食事に活かしましょう
- ごはんを中心に、野菜をたっぷり使ったバランスのよい食事を心がけ、しっかり朝ごはんを食べましょう
- 食べ残しを減らしましょう
- 自給率向上を図るさまざまな取り組みを知り、試し、応援しましょう
以上の目標を守ることで、食料自給率が上がるだけでなく、美味しいものが食べられて健康的にもなります。
一石二鳥の取り組みで、日本の食料自給率を上げていきましょう!
日本の食料自給率を上げるお手伝い!農業バイトはジモベジワークス
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この記事では、日本の食料自給率の問題や解決策をご紹介しました。
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日本の食料自給率が低下した原因は、農家の人手不足にもあるのです。
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