「新規就農にかかる初期費用をおさえたい…」
「新規就農で受けられる補助金はあるのかなぁ」

新しく農業を始めようと思っている方は、こんな風にお悩みかもしれません。

新規就農の準備は多岐に渡りますし、初期投資にかかる金額は大きいです。

農地や機材を用意したり、知識やスキルを身に着けたり、受けられる補助金があるなら最大限活用したいですよね。

新規就農者は、国や自治体から多くの支援を受けられます

  • 就農前の研修期間のサポート
  • 無利子での借入
  • 経営が安定するまで(最長5年間)の定額交付

など、さまざまな補助金や制度があるんですよ。

ただなかには、一定の条件を満たせないと、返還対象になってしまう場合があります

そのため、補助金制度の種類や内容、注意事項を事前に確認しておくと安心ですよ。

この記事では、

  • 新規就農者が使える補助金の種類
  • 補助金の申請前にしておくこと

についてご紹介いたします。

新規就農時の費用をおさえたい方は、ぜひ参考にしてください。

新規就農者が使える補助金とは

野菜をもつ女性農家
新規就農を目指す方は

  • 農業次世代人材投資資金(準備型・経営開始型)
  • 青年等就農資金

こちらの2つの補助金の内容を把握しておくと◎。

最長5年間支援を受けられたり無利子で借入できたり、これから農業を始める方にはとても心強い制度です

また農林水産省は、2022年度から新規就農者への支援をより充実させることを決定

これから補助金を活用される方は、以前より好条件になっているので要チェックですよ。

ここからは、それぞれの補助金の特徴や向いている方について解説します。

農業次世代人材投資資金とは

野菜と電卓
農業次世代人材投資資金とは、新規就農者の就農前の研修にかかる費用や、就農後の経営を支援する制度のことです。

準備型『就農準備資金』…就農前の補助金
経営型『経営開始資金』…就農後の補助金

こちらの2つにわかれ、交付を受けるための条件や期間、金額などがそれぞれ異なります。

どちらも

  • 次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること

を原則としていて、農業を長く続けることが条件になっているんですよ。

つぎに、準備型と経営型の違いや対象者について解説していきます。

準備型『就農準備資金』とは

農業を学ぶ学生

就農準備資金

都道府県が認める道府県の農業大学校等の研修機関等で研修を受ける就農希望者に、最長2年間、月12.5万円(年間最大150万円)を交付します

就農準備資金は、就農前の研修期間の所得を確保するための補助金です。

都道府県が認める農業大学校等で研修を受けると、最長2年間で年間最大150万円が交付されます。

新規就農の準備をしながら、こちらの補助金を生活費に当てることができますよ。

準備型『就農準備資金』の交付対象者

農家

  • 就農予定時の年齢が原則49歳以下であること
  • 都道府県が認めた研修期間で概ね1年以上(1,200時間以上)研修を受けること
  • 独立・自営・雇用就農を目指すこと
  • 常勤の雇用契約を結んでいないこと
  • 生活保護や求職支援制度などを受給していないこと
  • 傷害保険に加入すること
  • 前年の世帯所得が600万円以下であること

準備型『就農準備資金』交付希望者の条件項目はこちらです。

準備型の補助金を受ける方は、基本的に常勤の雇用契約はNG

いわゆる1日8時間労働をして、週に40時間の勤務はできません。

また、前年度の所得によっては補助金の対象外になります。

家業を継ぐ方は、

  • 研修終了後5年以内に経営を継承すること
  • 農業法人の共同経営者になる又は独立・自営就農すること

がさらに条件に加わるので注意しましょう。

準備型『就農準備資金』が向いている方

農家
準備型の就農準備資金は、就農前のサポートに特化した補助金です。

農業の知識やスキルを習得してから就農を目指したい方は、ぜひ活用してください

農林水産省のホームページで、全国41道府県にある農業大学校の一覧や学習内容を確認できますよ。


また、準備型の補助金を受けるには、フルタイム勤務はできません。

生活費が補助金でまかなえるか、事前にシミュレーションしておくといいでしょう。

準備型『就農準備資金』の返還対象

(注)以下の場合は返還の対象となります

・適切な研修を行っていない場合
交付主体が、研修計画に則して必要な技能を習得することができないと判断した場合
・研修終了後
1年以内に原則49歳以下で独立・自営就農又は雇用就農しなかった場合
準備型の交付を受けた研修の終了後、更に研修を続ける場合(原則2年以内で準備型の対象となる研修に準ずるもの)は、その研修終了後
・交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、独立・自営就農又は雇用就農を継続しない場合
・親元就農者について、就農後5年以内に経営継承しなかった場合、農業法人の共同経営者にならなかった場合又は独立・自営就農しなかった場合
・独立・自営就農者又は親元就農者で5年以内に独立・自営就農する者について、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者にならなかった場合

(注1)交付対象者の特例
国内での2年の研修に加え、将来の農業経営ビジョンとの関連性が認められて、海外研修を行う場合

上記の項目に当てはまると、返還の対象となるので気をつけましょう。

準備型の場合、研修終了後1年以内に就農しないといけません

農業を仕事にしていれば、独立や自営就農、雇用就農でも問題ないですよ。

また、交付期間の1.5倍以上(最低2年間)就農していなければ、返還対象になります。

2年未満で農業を辞めると、交付された資金をすべて返還しないといけないんです!

補助金を受け取ったあとに「やっぱり農業は向いていなかった…」とならないよう、事前に向き不向きを見極められると◎

いきなり就農を考えるのではなく、農業体験や農業バイトで適性を見ておくといいでしょう

経営型『経営開始資金』とは

農業をする女性

経営開始資金
新規就農される方に、農業経営を始めてから経営が安定するまでの最大3年間、月12.5万円(年間150万円)を定額交付します

経営開始資金とは、就農後の生活が安定するまでの所得を確保する補助金です。

期間は最長5年間で、経営開始1~3年目は年間150万円、4~5年目は年間120万円が定額交付されます。

新規就農では、作物で収入を得られたり経営が軌道にのったりするまでに時間がかかる場合も珍しくありません。

経営開始資金は生活費にあてられるので、活用される方が多いですよ。

経営型『経営開始資金』の交付対象者

農家

  • 就農予定時の年齢が原則49歳以下の認定新規就農者であること
  • 独立・自営就農であること
  • 青年等就農計画に即して農業経営を行っていること
  • 生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷取引すること
  • 前年の世帯所得が600万円以下であること
  • 生活保護や求職支援制度などを受給していないこと
  • 人・農地プランへの位置づけられている、又は農地を借りていること
  • 5年後には農業で生計が成り立つ実現可能な計画がたてられていること
  • 主要な機械・施設を交付対象者が所有又は借りていること
  • 農産物等の売上げや経費の支出などの経営収支を通帳及び帳簿で管理すること

経営型『経営開始資金』交付対象者の条件は、こちらの項目をクリアしていること。

一見条件が多く感じますが、実際に農業で生計を立てる上で必要なことばかりです。

また、先ほどお伝えした準備型と同様に年齢制限が設けられ、さらに『認定新規就農者』となる必要があります。

『認定新規就農者』とは、新規就農者が「青年等就農計画」を市町村に提出し、認定を受けた方のこと

認定新規就農者になる方法や青年等就農計画については、後ほど説明いたします。

お急ぎの方はこちらからどうぞ。

経営型『経営開始資金』が向いている方

農家
経営開始資金は、農業経営を始めてからのサポートに特化した補助金です。

ご自身で農業の経営をしたい方にとっては、手厚い支援となっています。

農業法人に就職する場合は、受給の対象外となるので覚えておきましょう。

また、こちらには特例があり、夫婦ともに就農する場合は1,5人分が交付されます。

年間150万円のところが225万円になるため、もし夫婦で就農を考えているなら、利用を検討してみるといいですよ

経営型『経営開始資金』の返還対象

経営開始資金は「交付期間と同期間以上の営農をしなかった場合」、受け取った交付金額の返還が必要となります。

そもそも、農業次世代人材投資資金は、長く農業を続ける方を対象とした補助金です。

返還の対象条件を設けることで、農業を長く続ける方を増やす制度となっているんですね。

交付期間中に、農業でしっかりと生計が立つ状態を目指せるようにしましょう

2022年度から経営開始型の支援内容が変更!

農家
実は2022年度から、経営開始型の支援内容が変更になります。

2021年度までは最大690万円の交付でしたが、2022年度から最大1000万円の無利子での融資に変わるんです。

1000万円の返済資金は、国や地方自治体が肩代わりしてくれますし、新規就農者に負担のない形がとられているので安心してくださいね。

また以前は、交付金の使い道は指定されていませんでしたが、見直し後は施設や機械投資が対象となるため、注意が必要です。

ただ前年の世帯所得が600万円未満の場合、使い道を限定されずに、最長3年間・最大月13万円の交付金を受け取れます

対象者は見直し前と変わりません。

最新の情報は、農林水産省の公式HPで随時チェックしてみてください。


つぎに、新規就農者を対象としているもう一つの補助金「青年等就農資金」について解説します。

青年等就農資金とは

農家

新たに農業経営を営もうとする青年等を対象とした、農業経営を開始するために必要な資金を長期、無利子で貸し付ける支援のことです。

青年等就農資金とは、新規就農者を対象に、国が無利子で資金を融資する制度のこと

農業経営を開始するために必要な、設備資金や運転資金に対応しています。

たとえば、

  • 種苗・肥料・農薬等の資材費や家畜の購入費・飼料代
  • 農地の使用料や施設・機械のリース料

など、さまざまな用途で活用が可能。

融資資金は使い道が決まっているのが一般的ですが、青年等就農資金は幅広く活用できるのが特徴です。

また、返済期間は最長17年で、返済の猶予期間も5年と長めに設定されています。

当面の間は資金繰りの心配をしないで、事業に集中できる仕組みになっているんですよ。

『青年等就農資金のよくある質問』はこちらで確認できますので、あわせてご覧ください。

青年等就農資金の対象者

野菜を収穫する女性
青年等就農資金を利用するには、市町村から青年等就農計画の認定を受け、「認定新規就農者」になることが必要です。

青年等就農計画の認定を受けられるのは、

  • 農業経営を開始して5年以内
  • 原則として18歳以上45歳未満

こちらの項目に当てはまる方。

ただ特例として、一定の条件を満たせば45歳以上65歳未満でも認定を受けられます

気になる方は、就農する市町村に問い合わせてみてくださいね。

農業の補助金申請には『青年等就農計画』が必要!

野菜を持つ女性農家
「経営開始資金」「青年等就農資金」で補助金を申請するときに必要なのが『青年等就農計画』

補助金の活用を希望する方は、事前に準備しましょう

青年等就農計画とは?

青年等就農計画制度は、新たに農業を始める方が作成する青年等就農計画を市町村が認定し、その計画に沿って農業を営む認定新規就農者に対して重点的に支援措置を講じようとするものです。

「青年等就農計画」とは、農業を経営していくうえでの目標や将来の目指す姿、具体的な営農内容などを計画した経営指標のことです。

「青年等就農計画」を策定し、地域農業の将来の担い手として期待できると市町村から判断されると、「認定新規就農者」に認定。

「認定新規就農者」に認定されると、青年等就農資金や経営開始資金を活用できるようになるんですよ。

認定新規就農者認定の流れ

女性農家

新規就農者が青年等就農計画を作成し、市町村に提出
市町村が計画内容を審査・認定
市町村が認定後、申請者に通知
「認定新規就農者」になれる
<市町村、都道府県等関連機関により計画達成をフォローアップ>

こちらは、認定新規就農者になるためのステップです。

要件の確認があるため、青年等就農計画を作成する前に、都道府県(農業普及指導センター)や認定主体の市町村に必ず相談しましょう

青年等就農計画書のフォーマットや入力見本は、農林水産省のHPにあるのでチェックしてみてください。

自分に合った補助金を探すなら「逆引き辞典」がおススメ

辞典
ここまで新規就農者が使える補助金の「農業次世代人材投資資金(準備型・経営開始型)
・青年等就農資金」についてご紹介しました。

もし今回お伝えした補助金の内容が、ご自身の条件や目的に合わない方は、農林水産省が用意している「逆引き辞典:農業編」を活用してみてください。

実は、就農者を対象とする補助金は他にもあります

逆引き辞典では

  • 補助金
  • 融資
  • 出資
  • 税制
  • 優良事例

のカテゴリーから選んで、補助金を調べられます。

「農地や機械を借りるときは?」
「労働力を確保するときに役立つ制度はあるの?」

こんな風に悩みや希望から逆引きできて、ピッタリの支援を見つけられますよ。

新規就農で使える補助金をお探しの皆さまへ

スマホをみる農家夫婦
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
この記事が、新規就農に興味がある方の参考になっていたら幸いです。

新規就農を目指していて農業経験がない方は、まずは農業体験をしてみるのがおススメ。

実際に農家さんとコミュニケーションをとったり、より鮮度の高い情報を仕入れられたり、自分が就農したときのイメージが膨らみやすいですよ。

気軽に就農を試してみたい方は、当サイトジモベジワークスをご活用ください。

ジモベジワークスは、1日単位の農業アルバイトをご紹介しているサービス

全国各地に住む農家さんから、さまざまな依頼が出ているので、気軽に農業体験できます。

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