「農業ビジネスに参入を考えているけど、何から始めればいいのか…」
農業ビジネス初心者だと、こんな不安があるのではないでしょうか。

農業ビジネスを始めるには、農業マーケティングや農作物の栽培方法などを学ばないといけません。
やることが多岐にわたるため、どこから始めればいいかわからなくなりますよね。

結論からお伝えすると、農業参入の成功事例や売れる野菜を知ることから始めましょう。
そうすることで、農業ビジネスの成功への道が見えてくるはずです。

この記事では、農業ビジネスの現状や今後の可能性も踏まえた成功法則をお伝えします。
農業ビジネスを成功させたい方は、ぜひ最後までお読みください。

農業ビジネスの現状!参入するなら今がチャンス

農業ビジネスを考える男女
農業ビジネスは多くの企業が参入しましたが、まだまだ発展途上のため、今から参入しても収益を上げることは可能です。

農業ビジネスに参入している主な企業は、大手スーパーのイオンや物流企業の日本通運など。
どの企業もAIやロボットなどを使用したスマート農業で農作物を生産し、収益を上げています。

農業ビジネスに参入する企業が増えた理由は、農地法改正とスマート農業の普及です。
農地法改正とスマート農業の普及は、農業ビジネスとどのように関係しているのか見ていきましょう。

農地法改正のおかげで農業に参入しやすくなった

農地法とは、農地を農業生産以外に使用してはいけないという法律。
改正前は、農家の家系や農業生産法人以外は農地を利用できなかったんです。
しかし2009年の農地法改正により、農地を一般法人でも利用できるようになりました。

そのため、マーケティングのノウハウを持つ企業が続々と参入。
独自の生産方法を行ったり、販売ルートを持ったりして、高い収益を実現しています。

スマート農業のおかげで効率よく栽培できる

農業ビジネスを成功させるにはスマート農業の普及が重要です。
スマート農業とは、ロボットやICT(情報通信技術)などの先端技術を合わせた新しい農業のこと。

スマート農業を実施することで、農作業の効率化を図り、収益の最大化が狙えます。
ロボット・IoT(インターネットと融合した機械)・AI(人工知能)の3つがスマート農業の要。
それぞれどういった例があるのか見ていきましょう。

ロボットの使用例:農薬を撒くドローン
IoTの使用例:自動運転の農業機械やスマホで管理できる農業アプリ
AIの使用例:画像を診断して病害虫被害を最小限に抑えるシステム

このようにスマート農業を利用して、効率のいい農作業を実現しています。
スマート農業は農業ビジネスの成功に必須なため、積極的に情報を取り入れてくださいね。

農業ビジネスの成功事例

スーツと作業着を着た男女4人

実は農業ビジネスで成功している企業は少なく、参入している企業の76.7%は赤字なんです。
黒字化には平均で4年かかるので、長い目で見ていくのが大切。
ただし、将来の目標が曖昧だったり、計画性がなかったりすると赤字が続きやすく、注意が必要です。

そして、農業ビジネスで収益を上げるには、成功事例を知ることと6次産業化させることがカギ。
(6次産業化とは、生産・加工・販売をすべて行うこと)

それぞれどのように行い、農業ビジネスを成功させていくのか見ていきましょう。

大手企業の農業ビジネスモデルを知っておこう

大手スーパーのイオンでは子会社が生産・加工した農作物を、全国の直営店で販売する6次産業化に成功。
消費者の安全を考慮したプライベートブランドの農作物を生産し、ファンを増やしました。
さらに地元の雇用を生み出したり、住民と交流を盛んに行ったりして地域の活性化に努めています。

自動車メーカーのトヨタでは『豊作計画』というトヨタ生産方式を農業に活かすサービスを展開。
『豊作計画』とは農家や農業関係団体に対し、効率的に農作業が行えるようにサポートするクラウドサービスです。
内容は派遣スタッフのチェックによる作業工程やコストの無駄の発見と改善が中心。
さらに人員や生産、出荷、在庫、受注の情報を一元管理し、作業効率を上げています。

物流企業の日本通運では、「サラダのために生まれた野菜」をコンセプトにした自社ブランド『DESIGN×SALAD』を設立。
大手スーパーや食品宅配業者にも採用されていて、おしゃれな野菜として人気があります。
ASIAGAP認証を獲得し、安全面に配慮。ASIAGAP認証は食品の安全と労働環境に気を配っている証なので、お客様に安心感を与えられます。

このような大手企業の農業ビジネスモデルを学ぶのは、成功への近道になるでしょう。

成功のカギは6次産業化にある

6次産業化とは生産の1次産業と製造・加工の2次産業、サービス・販売の3次産業をかけ合わせ、付加価値を高める産業のこと。

農業ビジネスにおいて、6次産業化は高収益を目指すうえで欠かせません。
6次産業化をオススメする理由は2つです。

  • 農協を通さないから価格設定が自由
  • 見栄えが悪い・作りすぎな農作物は加工品で販売

2つの理由はそれぞれどういう内容なのか説明していきます。

農協を通さないから自由に価格を設定できる

生産した農作物を農協に卸すと、安く買われ収益が少なくなる可能性があります。
そうならないためにも6次産業化を行い、高い収益を上げられるようにしましょう。

そこで重要なのが独自の販売ルートの開拓。
生産・加工した農作物を自身の店や小売店、ネットショップで販売すれば自由に価格設定できます。

ただ、販売ルートを開拓するには営業をしたり、マーケティングを考えたりと仕事がたくさんあるので、押さえておいてくださいね。

規格外・過剰生産の農作物は加工品で売る

過剰生産だったり規格外だったりした農作物は、加工して新しい商品にすればOK。

農協では農作物の見栄えが悪いと引き取ってもらえないことがあります。
さらに買い取り上限もあるため、一定量の農作物しか引き取ってもらえません。

農作物は作りすぎると廃棄して肥料にしますが、加工商品で販売すれば収益が見込めるんです。

例えば、細かく刻んだり液体にしたりして、ジュースや調味料などに加工して販売することで付加価値が生まれます。

今までにない商品や品質のいい商品を作れば、ブランド化され、高収益の農業ビジネスになりますよ。

また、希少性を出すのは6次産業化で人気になったり売れたりするために必要なこと。
「限定〇本!」と謳い、貴重な商品としてアピールすれば、注目度が上がり人気商品になるでしょう。

農業ビジネスのアイデアを生む方法

ペンでアイデアをメモ

「農業ビジネスのアイデアなんて浮かばないよ…」
と思う方もいるかもしれませんが、農業ビジネスはふとした瞬間に生まれます。
電車に乗っているときや、近所を散歩しているときなど。

いつどこでアイデアが浮かんでもいいように、日ごろからメモする癖を身につけましょう。
アイデアは最初から形にしようとせず、思いついた案をどんどん出すことが重要で、不要かどうかはすぐに判断しなくて大丈夫です。

農業ビジネスのアイデアが浮かばない方は2つの発想法を試してください。

  • 四則演算
  • シナリオグラフ

これらの発想法はどういった内容なのか、詳しくご紹介します。

足し算・引き算・掛け算・割り算で考える『四則演算』

小学生の頃に算数で教わった四則演算をアイデアの発想に利用してみます。
例えば、キャベツで新しいアイデアを考えてみましょう。

足し算:既存の要素を増やすこと
例:キャベツに大きさを足したビッグキャベツ

引き算:既存の要素を減らすこと
例:キャベツの大きさを引いた手のひらキャベツ

掛け算:既存の要素に何かをかけ合わせること
例:キャベツとタンパク質を掛けた筋肉キャベツ

割り算:既存の要素を取り除くこと
例:キャベツの歯ごたえ要素を取り除いた溶けるキャベツ

このように4つの視点があるため、多種多様なキャベツのアイデアが浮かんできます。
既存の考え方に固執せず、自由に思い描くのが大切です。

4つの切り口で考える『シナリオグラフ』

シナリオグラフとは、「誰が・いつ・どこで・何をする」という筋書きを考えて、アイデアを生み出す手法。

例えば「誰が・いつ・どこで・何をする」を4つずつ考えて、ランダムに印をつけてみます。

誰がいつどこで何をする
花き農家作業場周りを見張る
野菜農家作業中農地お金を稼ぐ
酪農農家休憩中直売所バイトを求める
米農家1週間前自宅ぐっすり休む

印をつけたら「野菜農家が休憩中に作業場でお金を稼ぐ」というテーマに決まりました。

野菜農家が休憩中に作業場でお金を稼ぐ方法で考えると、直売所、カフェ、料理教室などさまざまなアイデアが出てきます。

このようにシナリオグラフで考えると、アイデアが思いつきやすいですよ。

成功しやすいアイデアの特徴

アイデアがどのようにビジネスを成功へと導くのか。
成功しやすいアイデアはお客様が求めているかどうかが大切です。
お客様のニーズに応えられなければ、実現できそうなアイデアでもビジネスは成功しません。

さらにビジネスで利益を上げるなら、「社会に必要か」「収益は上げられるか」「続けられるか」という3つの考えも重要。
例えば、先ほどお伝えしたトヨタの『豊作計画』を3つの考えに当てはめれば、以下のようになります。

・社会に必要か→〇(農家の生産効率を上げ、農作物の安定供給が目指せるため)

・収益は上げられるか→〇(1アカウントごとの月額料金が発生するため)

・続けられるか→〇(定期的にシステムのメンテナンスを行い、お客様に継続利用してもらえるように工夫しているため)

ほかの企業の成功事例を3つの考えに当てはめて考えると、アイデアが浮かびやすいです。

そして、アイデアを考えたら小さなテストを何回か行い、足りない部分や過剰な部分は改善していきましょう。
テストの段階でお客様が求めていないと判断すれば、ほかのアイデアに切り替えればOKです。

失敗しやすいアイデアの特徴

失敗しやすいアイデアの特徴は斬新すぎること。
時代を先取りしすぎて、お客様がまだ求めてないため、失敗する可能性が高いです。

例えば、「甘味・苦味・辛味・酸味が楽しめるピーマン」というアイデアを考えます。
お客様が求めているのか考えてみると、味にまとまりがないため、人気は出ないでしょう。

斬新なアイデアに酔ってしまうと、客観的な目線で見られなくなり迷走するかもしれません。
もし、斬新なアイデアを打ち出すなら、長期ビジネスとして少ない費用で持続させていくのがオススメです。

そして、ビジネスを行うには地域も重要。都市や地方など場所によって戦略が変わってきます。
このように失敗しやすいアイデアを知っておけば、ビジネスは成功に近づけるでしょう。

農業ビジネスが成功しやすい売れる野菜とは?

スーパーマーケットの野菜売り場

農業ビジネスを行うなら、すぐに結果を出したいですよね。
成功するには、売れる野菜とはなにかを知るのが重要。

農業ビジネスで成功しやすい売れる野菜とは、高収益が可能な野菜のことです。
育てる農作物や栽培方法によって、収益は大きく異なります。
農林水産省の『農業経営統計調査』をもとに、高収益な野菜の上位3品目を見てみましょう。

順位品目栽培方法粗収益
(千円)
経費
(千円)
所得
(千円)
労働時間
(時間)
時給(円)
1位キャベツ露地39221018289.752028
2位レタス露地476242234133.391754
3位ミニトマト施設4071204320281488.191363

これらを見てみると、利益を多く得るには経費と労働時間を考えるのが大事。
経費や労働時間が余分にかかってしまうと、高収益は実現できません。

そして、農業初心者が高収益を得るには2つのポイントが大切。

  • スーパーや八百屋に行って人気な農作物を探す
  • 農協を通さない独自の販売ルートを確立する

日ごろから街中のお店で人気の野菜ブランドを探し、自身の農業ビジネスに活かすのは重要です。
また、農協は農作物を買い取ってもらえる数が限られていたり、安く買われたりする可能性があります。
独自の販売ルートを確立し、価格を自身で決めれば高収益が実現できますよ。

ほかにも、農業ビジネス初心者の方でも栽培しやすい野菜を選ぶと安定した生産量が見込めるでしょう。

農業で儲かる野菜を詳しく知りたい方はこちら

農業ビジネス初心者の方に向けたオススメの野菜

農業ビジネス初心者は、育てやすい農作物から始めるのがオススメ。
特に、家庭菜園に向いている野菜を栽培していけば早く収益を上げられます。

農業ビジネス初心者にオススメの野菜は3種類。

  • 果菜類(ミニトマト・ナス)
  • 根菜類(さつまいも・じゃがいも)
  • 葉菜類(小松菜・ほうれん草)

これらの野菜は栽培期間が短かったり、天候の影響を受けにくかったりします。
農作物の育て方を勉強している農業ビジネス初心者にとって、非常に栽培しやすいんです。
簡単に育てられる野菜から始めて、高収益が実現しやすい野菜へとシフトしていきましょう。

農業ビジネスを学ぶための学校や本を紹介

授業を受けている男女4人

「農業ビジネスを始めたいけど、なにから始めればいいのかな…」と思う方もいるかもしれません。

農業ビジネスを始めるなら、農業スキルの習得が大事です。
農業スキルを身につけるには、さまざまな方法があります。

農業の概要だけ知りたい方→自治体や農協が主催する農業研修
幅広く農業のスキルを身につけたい方→農業系の学校
副業や家庭菜園レベルで農業を行う方→農業関連の本・動画

農業とはどんなものか軽く知りたいだけであれば、本や農業研修から始めてみるといいでしょう。
覚悟を持って農業ビジネスを始めるのであれば、農業系の学校に通うのがオススメです。

自治体や農協の主催する農業研修は初心者にピッタリ

自治体や農協の研修は、理想と現実の違いを知りたいときにピッタリ。
農業研修はおおよそ10時間〜20時間で行い、参加費は数千円程度です。

農業研修は基礎研修と実践研修の2種類があり、参加者のスキルに合った内容になっています。
地域によって授業内容は異なるため、あらかじめ農業ビジネスを行う地域は決めておきましょう。

農業研修は、農作物の栽培や農業ビジネスの授業が受けられ、短時間でスキルが身につきます。
さらに講師として地元の農家さんが教えるので、農家の人脈をつかむチャンスがありますよ。

学校は将来につながる農家の仲間ができる

農業系の学校にはさまざまな種類があります。
例えば、各都道府県に設置されている農業大学校や農業系の大学・専門学校など。
農業だけではなく、水産や林業などが学べる学校もあるため、農業ビジネスの方向性を決めてからの入学をオススメします。

そして、農業系の学校に通うメリットは農家の仲間ができること。
仲間ができれば、お互いに助け合ったり、励まし合ったりできるので農業ビジネスのモチベーションを高く維持できるでしょう。

また、最新の農業マーケティングや農業機械について情報交換ができ、効率よく農業ビジネスが行えます。
仲間と助け合い情報交換できれば、効率のいい農作物の栽培ができ、安定した収益が確保できるでしょう。

農業の学校を地域別で紹介!

本は好きな時間や場所で学べるから忙しい方にオススメ

「農業の学校に行きたいけど、今は忙しくて…」
そんな方は本で農業ビジネスの勉強をしましょう。

本で学習するメリットは場所や時間にとらわれないこと。
学校だと場所も時間も決まっていますが、本は自分が好きな場所や時間で勉強できます。

「でもどの本を読めばいいのかわからないな」という方もご安心ください。

ここでは大手ネットショッピングサイトのアマゾンで評価の高かった、農業ビジネス初心者にオススメの本をご紹介します。

【マッキンゼーが読み解く食と農の未来】

日本の農家のほとんどが65歳以上の今、どのような戦略を立てて農業の維持をすればいいのか。マッキンゼー(世界的なコンサルタント会社)の日本支社長が提示する農業戦略書です。


著者名:アンドレ アンドニアン
出版社名:日経BP日本経済新聞出版本部
出版年:2020年8月1日

【図解即戦力 農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書】

家族経営が主体の日本の農業は転換期を迎えています。これからの農業がビジネスとしてどのように進んでいくのか。スマート農業の使用例や農業ビジネスの成功例などを図解で説明した教科書です。


著者名:窪田 新之助,山口 亮子
出版社名:技術評論社
出版年:2020年6月20日

【図解よくわかるスマート農業-デジタル化が実現する儲かる農業-】

スマート農業に特化した農業ビジネスの情報が網羅されています。農業ビジネスの始め方やスマート農業の導入方法など。農業初心者に向けた情報が満載のスマート農業についてのビジネス入門書です。


著者名:三輪 泰史,日本総合研究所研究員
出版社名:日刊工業新聞社
出版年:2020年3月28日

どの本も農業ビジネスに必要なので、読んでおいて損はありませんよ。

農業ビジネスに興味がある方は農家の知り合いを作りましょう!

野菜を持つ40代男性

最後までお読みいただきありがとうございました。
農業ビジネスはやり方次第で、多額の収益を得ることが可能です。
そのためには独自の販売ルートを確保することと、生産しやすい農作物を育てることが大事。

ネット販売とスマート農業が普及し始めている今、農業ビジネスは絶好の参入時なんです。
独自の販売ルートを確保して、常に農業マーケティングを意識した生産と販売を行えば、収益の最大化が狙えるでしょう。

農業ビジネス初心者であれば、まずは農業体験をしてみるのがオススメ!
農業体験をすれば、農作業の流れや農家の悩みがわかり、農業ビジネスのアイデアが生まれます。

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