「農業に転職したいけど、未経験だと難しいかな」
「農家に転職して、もし失敗したらどうしよう…」
農業や農家への転職を考えている方は、こんな不安を感じているかもしれません。
結論からお伝えすると、農業界は人手が不足しているため未経験でも歓迎されやすいです。
農家側も未経験者を前提とした採用計画を立てていて、働きながら技術を身に着けられます。
ただ農業に限らず、転職を成功させるには、職種の現状を理解して対策するのが大切。
リサーチと準備を徹底することで、ミスマッチを防いで理想の転職を実現できますよ。
この記事では、農業の現状や農家へ転職する方法、失敗しないコツを解説します。
くわえて、オススメの農業転職サイトやエージェント、履歴書・面接対策もご紹介。
農業に転職しようか迷っている方は、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
農業の現実とは?農家の人口と年収、メリットデメリット
農業に転職を考えているなら、まず業界や業種の現状を把握しておくこと。
農業への憧れやイメージだけで転職してしまうと、現実とのギャップが生まれやすいです。
転職したあと「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、事前のリサーチは重要。
農業に従事する人の性別・年齢や年収、メリット・デメリットを確認しておきましょう。
農家の人口(性別・年齢別)
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
基幹的農業従事者 | 175.7 | 158.6 | 150.7 | 145.1 | 140.4 | 136.3 | 130.2 | 122.6 |
うち女性 | 75.1 | 65.6 | 61.9 | 58.6 | 56.2 | 54.1 | 51.2 | 48.0 |
うち65歳以上 | 114 | 103.1 | 100.1 | 98.7 | 97.9 | 94.9 | 90.5 | 86 |
平均年齢 | 67.1 | 66.8 | 66.6 | 66.6 | 66.8 | 67.8 | 67.9 | - |
参考:農業労働力に関する統計┃農林水産省
こちらは、基幹的農業従事者(個人経営体)の人口推移の一覧表です。
基幹的農業従事者とは、主な仕事として自営農業に従事している人のこと。
ご覧いただいた通り、農業人口は年々減少の一途をたどっています。
女性は全体の3〜4割をキープしていますが、やはり人口はどんどん減少中。
また65歳以上の割合や平均年齢から、農家の高齢化が進んでいるとわかりますね。
農家が減っている農業界では、新たに農業へ挑戦する「新規就農者」を大募集中です。
ちなみに2020年の新規就農者は、男女あわせて53740名。
男性38800人、女性14940人と、男性を中心に農家へ転職した方が多いです。
さらに65歳以上が19030人を占めていて、年齢のハードルも下がっています。
年齢や経験を重視せず、未経験者を積極的に採用しているのでチャンスなんですよ。
農業を始める年齢は何歳が最適?
農家の収入
2019 | 2020 | |
---|---|---|
全農業経営体 | 118.8 | 123.6 |
個人経営体 | 113.6 | 117.5 |
法人経営体 | 287.7 | 323.4 |
参考:農業経営に関する統計(1)┃農林水産省
こちらは、農林水産省が発表している「1経営体当たりの農業所得の動向」です。
全農業経営体とは、個人・法人をふくめたすべての農業経営体のこと。
また個人経営体は、個人(世帯)で農業に従事している農家さん、法人経営体は、法人化して農業事業を行っている個人や会社を指します。
2020年の全農業経営体の農業所得は123.6万円。
個人は117.5万円、法人は323.4万円と経営体によって大きく差が開いています。
ただ事業所得は、農作物の販売で得た収入から、経費や人件費を差し引いた金額。
農業は施設や機械、人手が必要で経費がかかるぶん、所得金額は低くなりがちです。
くわえて農業は、栽培する作物や土地、販売方法などで稼げる金額が変わります。
なかには年収1000万円以上の農家さんもいるので、工夫次第で収入アップも可能です。
農家の年収の実態調査!平均金額と稼ぐポイント
農家のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
学歴・経験・年齢不問 農業や食の知識が増える 健康的な生活・肉体になる 働きながら社会に貢献できる 自分で経営の采配がとれる | 外的要因で収益が変動する 初期費用やコストがかかる 一定以上の体力が必要 |
農家に転職するメリットは、学歴・経験・年齢に関係なく、誰でも活躍できること。
人手不足が問題となっている農業界では、意欲さえあればどんな現場でも重宝されます。
くわえて毎日屋外で農作物と向き合ううちに、農業の知識や体力が自然に身につくのも◎。
また生きるうえで欠かせない作物を作る農家は、人々の暮らしを支える重要なお仕事です。
農家の一員として働くことは、社会貢献につながり、大きなやりがいを得られるでしょう。
とくに農家として独立した場合、自分のアイデアを活かしながら農業経営ができます。
作物の種類や栽培方法、販売の仕方など、工夫しながら売上を伸ばせるのも魅力ですよ。
一方のデメリットは、自然災害や天候、病害虫など外的要因で収益が変動すること。
農作物を守るには、設備や機材をそろえる必要があり、コストがかかるのも難点です。
他にも、農業は肉体労働が多いため、体力の維持や健康に気を配らなければなりません。
どんな職種にもメリット・デメリットはありますが、前向きに受け取れるかどうかが重要。
農家のメリット・デメリットを把握したうえで、自分に合うかどうか判断してくださいね。
農業に転職する方法は3つ!雇用就農・独立就農・親元就農
農業の現実がわかったところで、実際の転職方法を確認していきましょう。
- 農業法人へ就職する
- 農家として独立する
- 農家の後継者になる
ここからは、農業・農家に転職する3つの方法をご紹介します。
農家になるには?3つの方法と必要な資格を紹介
農業法人へ就職する
農業法人の社員として採用されて働く方法は「雇用就農」と呼ばれています。
雇用就農は、会社から安定したお給料をもらいながら農業に従事できるのが魅力。
また作物を育てる手順が決まっていたり、農地や機材が用意されていたり…。
農業を行う下地が整っているため、未経験から経験を積みたい方にピッタリです。
農業法人へ転職するなら、農業専用の転職サイトや転職エージェントを利用するのが一番。
一般的な転職サービスだと農業求人が少なく、理想の転職先に巡り会えないかもしれません。
農業専用の転職サービスは、求人数が豊富なのはもちろん、希望条件で絞って検索できます。
エージェントがサポートしてくれるサイトもあり、よりスムーズに農業に転職できますよ。
農業にオススメの
転職サイト・転職エージェント
農家として独立する
農家として起業する「独立就農」も、農業に転職する方法のひとつ。
独立就農は、自分で計画を立てて営農するため、自由度が高いのがメリットです。
どこの農地を取得するのか、何を育てるのか、どんな栽培や販売方法をとるのか…。
すべて自分で決めるので、農業だけでなく、経営やマーケティングに興味のある方に最適。
一方、独立就農で成功するには、農業の技術や経営ノウハウが欠かせません。
また土地や機材の購入にかかる費用が大きいので、準備資金の確保も不可欠です。
独立就農を考えている方は、国や地方自治体の制度を賢く利用するのがオススメ。
- 「農業次世代人材投資資金」就農前後の研修費や経営を支援する制度
- 「青年等就農資金」新規就農者を対象にした無利子の融資制度
など、独立就農を後押しする制度が用意されているので、ぜひ活用してみましょう。
新規就農の補助金の種類・金額・期間を解説
農家の後継者になる
農業の転職には、農家の後継者になる「親元就農」という方法も存在します。
もし実家が農家を営んでいるなら、家業として農業を継ぐのもひとつの手。
農地や設備、機械はもちろん、作物や販路も引き継げるので労力が少ないです。
ただなかには、「農業へ転職したいけど、実家が農家ではない」という方もいますよね。
実は『第三者農業経営継承』を利用すれば、農家さんの後継者になれる可能性があるんです。
『第三者農業経営継承』とは、移譲を考えている農家と新規就農者をマッチングする制度。
後継者のいない農家さんの資産を受け継いで、地域の農業を守ることを目的にしています。
農林水産省の運営する「農業をはじめる.JP」や、各市町村の窓口で募集農家の確認が可能。
農業への転職を考えている方は、『第三者農業経営継承』も視野に入れておきましょう。
農業の転職を成功へ!失敗しない3つのコツ
転職は、人生に大きな変化をもたらす重要なターニングポイントです。
だからこそ、「失敗したらどうしよう…」と不安に感じる方も多いはず。
そこでここからは、農業の転職で失敗しない3つのコツをご紹介します。
農業法人への転職以外に、独立就農を考えている方は↓もご覧くださいね。
農業に転職する目的と将来像を明確にする
農業に限らず、転職活動で大切なのは目的と将来像を明確にすること。
自分自身とじっくり向き合い、具体的な目的と将来像をイメージしてください。
そのうえで業種や作物、栽培方法など、より詳細な条件を固めていきましょう。
もし目的や将来像が思い浮かばないのなら、リサーチ不足の可能性があるので要注意。
農家や田舎暮らしへの憧ればかりが先行して、現実を見つめられていないかもしれません。
農業に転職するイメージが膨らまない場合は、まずは行動してみるのが一番。
農家さんのお手伝いをしたり、新規就農の窓口に相談したりして、情報を集めましょう。
また身近に農家さんがいない場合は、アルバイトで農業を体験するのも◎です。
単発バイトなら気軽に働けますし、全国各地の農家さんの現場を体験できます。
農業の知識・ノウハウを得る
転職を成功させるには、前もって農業の知識・ノウハウを得ておくのも重要。
農業は、土地や作物、栽培方法によって、必要な知識や技術が変わります。
求められるノウハウが多く、勉強不足で失敗してしまう方が少なくないんです。
農業に転職するなら、一度学校に通って農業の基礎~応用を身に着けておくと安心。
農業を学ぶための研修教育機関として、農林水産省は全国に農業学校を設置しています。
一般的な通学だけでなく、夜間やオンラインコースもあるので自分にあった学習が可能。
転職前に農業について学んでおけば、現場でも即戦力として活躍できます。
また勉強するなかで、農家への向き不向きや目指すべき目標が見えてくるかもしれません。
失敗や後悔するリスクを減らすためにも、事前に農業について学んでおくとベターです。
農業学校を地域別で紹介!学費や学歴・年齢制限
農業関連の資格・法律を学ぶ
本気で農家に転職したいなら、農業関連の資格や法律の勉強をするのもオススメ。
農家には、必須ではありませんが、持っておくと役立つ資格がいくつかあります。
とくに、運転免許や産業機械の免許は、作物の出荷やトラクターの運転に必要。
事前に取得しておくと優遇してくれる転職先もあるので、一度確認しておきましょう。
またもし独立就農を考えているなら、作物を栽培する農地を確保しなければなりません。
農地の購入や賃貸には「農地法」にもとづく市区町村の許可が必要なため、勉強は必須。
自分の目指す農家像にあわせて資格・法律を学ぶことで、スムーズな転職が叶いますよ。
農業に転職するなら必見!履歴書・面接対策
農業に転職を考えている方は、履歴書・面接対策も行っておきましょう。
どんなに熱意があっても、書類が通過しないと、直接思いを伝えられません。
また志望度の高い転職先なのに、面接で失敗するのはもったいないですよね。
選考を通過するには、農家さんの意図や思いを把握して準備するのが大切。
ここからは、履歴書の書き方と面接対策について詳しくご紹介していきます。
履歴書の書き方
➀日付 | 書類送付日もしくは面接日を記入 |
---|---|
②氏名 | 姓と名の間を空けてフルネームを記入 |
③生年月日 | 西暦もしくは正式な和暦表記で記入 |
④現住所 | 都道府県から記入し、番地ではハイフンを使わない |
⑤電話番号 | 連絡のつきやすい電話番号をハイフンでつないで記入 |
➅E-mail | スムーズにやりとりできるアドレスを記入 |
➆連絡先電話番号・E-mail | ⑤⑥以外の連絡先を希望する場合のみ記入 |
➇学歴・職歴 | 高校以降の学歴と職歴を時系列順に記入 |
➈免許・資格 | 取得した免許・資格を時系列順に記入 |
➉志望動機・自己PR・趣味・特技など | 農業や応募先への興味が伝わる内容を記入 |
⑪本人希望記入欄 | 譲れない条件や事前に伝えたい情報を記入 |
農業に限らず、履歴書は正しいルールで記入するのが大前提。
ルールを守るのはもちろん、記入欄の8割以上は埋めてください。
また志望動機や自己PRは、あなたの熱意とヤル気を伝える場所。
せっかくアピールできる機会なのに、記入しないのはもったいありません。
なぜ農業に転職したいのか?なぜ応募したのか?をしっかり伝えましょう。
履歴書の正しい書き方については、↓の記事もあわせて参考にしてください。
転職理由・志望動機の書き方【例文つき】
農業界への転職理由と志望動機は、3つの観点から考えるのがベスト。
- なぜ農業に転職したいのか
- なぜ応募先で働きたいのか
- 自分を採用することでどんなメリットがあるか
自己分析と企業研究を行って、まずは3つの理由を言葉にしてみてください。
「農業に転職したい理由」を考えるときは、農業に興味をもったきっかけを思い出しましょう。
農業の何に魅力を感じて挑戦したいと思ったのか、具体的なエピソードも用意しておくと安心です。
また「応募先で働きたい理由」と「採用するメリット」を考えるには、企業分析が不可欠。
応募先の企業の理念やポジションの業務内容を調べて、自分との共通点を探してください。
3つの理由を用意したら、あとはうまく繋ぎあわせれば、自然と魅力的な志望動機になります。
なぜ農業に惹かれ、応募し、自分がどんな場面で貢献できるかまでしっかり作り込みましょう。
農業の志望動機例(未経験・元調理師)
(農業に転職したい理由)
私は、小さなころからアレルギー体質で、産地や栽培方法に気を付けて食材を買う習慣がありました。そのなかで自分が食べる作物を作っている農業という産業に興味をもち、調べるうちに農家数の減少や食料自給率の低下などの課題があることを知り、私自身も農家として日本の食を支える存在になりたいと考えるようになりました。
(応募先で働きたい理由)
農業への転職を考えているときに貴社の野菜と出会いまして、味や香りが濃厚で野菜本来の美味しさが凝縮されていることに驚き、感動しました。さらに農薬を極力使わず、野菜の生命力を活かした栽培方法にこだわっている貴社の姿勢に共感し、ぜひ働きたいと強く感じています。
(採用するメリット)
農作業の経験はありませんが、農業への意欲は高く、生涯の仕事にしていきたいと考えています。また、これまで調理の仕事に携わってきた経験や管理栄養士の資格を活かして、農作物を加工品や料理にするなど、貴社がすすめている第6次産業化にも貢献していきたいです。
農業の志望動機例(経験者・元会社員)
(農業に転職したい理由)
学生時代に農業ボランティアに参加した際、農作物を作る楽しさと大変さを実感したことから、農業に興味を持ちました。会社員として働きながら貸農園で副業農家をしていたのですが、「もっと本格的に農業をしたい」「チームで農業に携わりたい」と思うようになり、現在農業法人を中心に転職活動をしています。
(応募先で働きたい理由)
農業法人を探すなかで、「農業の若返り」をモットーに若い人材を積極的に採用し、一人前の農家として育てるカリキュラムを組んでいる貴社に出会い、農業界全体の課題に本気で取り組み、解決しようとする姿に魅力を感じました。
(採用するメリット)
農業経験は浅いですが、トライアンドエラーを繰り返しながら作物を育ててきた経験やスキルは、貴社でも活かせると思います。また前職では部下のマネジメントも行っていたので、後任農家の教育にも携わっていきたいです。
農業バイトの志望動機の書き方!理由別の例文あり
面接の心構えとよくある質問
農業で転職する際に、面接官は求職者のどんな部分を見ているのでしょうか?
- すぐに辞めないか
- 理想と現実のギャップがないか
- 農業に対する意欲があるか
- 農業に活かせる経験とスキルがあるか
など、農業の現実を理解したうえで、長く働く意欲やスキルがあるかを見ています。
とくに農業は、経験や学歴、年齢を重視しない転職先が少なくありません。
そのぶん熱意や意志の強さ、適性などの性質面をしっかり確認する面接官が多いです。
農業法人や農家との面接では、農業に対する前向きな気持ちや具体的な働き方を伝えるのが大切。
また直接関係なくても、農業に役立ちそうな経験やスキルがあれば積極的にアピールしましょう。
たとえば体力やコミュニケーション能力は、仲間と協力して農作業をする農家に必要な素質です。
経営やマーケティングの知識があるなら、農作物の販促に貢献できる可能性を伝えてください。
熱意や強みを整理して、よくある質問に対する回答を準備しておくと安心して本番をむかえられます。
農業の面接でよくある質問
- なぜ農業を選んだのですか?
- なぜ応募したのですか?
- 農業の経験はありますか?
- 農業に活かせるスキルはありますか?
- 住んでいる場所はどこですか?
農業バイトの面接に受かる方法!準備・服装・質問
農家へ転職する前に!農業バイトで農作業を体験しませんか
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
農業界の現状や転職する方法、失敗しないコツなどをご紹介しました。
農業への転職でよくある失敗のひとつが、事前の準備やリサーチ不足。
農家への憧れだけで転職して、現実とのギャップに悩む方が少なくありません。
後悔しない転職をしたいなら、事前に農業のリアルな姿を知っておくのが重要。
農家さんに話を聞いてみたり、農作業を体験したり、農業の勉強をしたり…。
実際に行動して、農業への理解と知識を深めておくとミスマッチが起こりにくいです。
とくにオススメしたいのが、農業バイトで農業の現場を体験すること。
土地や農作物を選べる仕事が多いので、さまざまな農家さんのもとで経験を積めます。
当サイトジモベジワークスは、1日単位の農業アルバイトを紹介するサービス。
全国各地の農家さんの求人が掲載されていて、希望に沿ったお仕事がすぐに見つかります。
しかも1日単位で働けるから、多種多様な土地や農家さんと出会って勉強できるチャンス。
もちろんお給料も支払われるので、お金をもらいながら農業を勉強したい方にピッタリです。
ジモベジワークスの登録は、完全無料かつすべてWebで完結します。
履歴書の提出や面接は一切ないので、お試し感覚で農業バイトをはじめられますよ。
農業への転職を考えている方は、ぜひジモベジワークスを活用してみてくださいね。