「農家に転職を考えているけど、これからの農業はどうなるんだろう」
「未来の農業は変わるかな?農家に転職したら稼げなかったりして…」
農業の未来についてお考えの方は、このような心配をしているかもしれません。
たしかに、これからの農業がどう変わっていくのか気になりますよね。
結論からお伝えすると、農業の未来は明るくなるでしょう。
スマート農業の普及や法人の大規模経営が進み、作業効率がどんどん上がっていくので、収益を上げやすくなります。
ただ、日本の農業は農家数が減っていたり、作業効率が悪かったりと問題が多いです。
農家に転職して収益を上げるには、これからの農業に対応していくことが重要。
そこで、この記事ではこれからの農業について解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、日本の農業の課題や対策を知り、儲かる農家を目指してくださいね。
日本の農業の現状と課題
日本の農業は変革期を迎えているのをご存知ですか?
現状、日本の農業は以下の3つの問題を抱えており、早期に解決しないといけません。
- 農家の高齢化と後継者不足
- 個人・家族経営農家の減少
- 耕作放棄地(放棄された農地)の増加
なぜ、このような問題が起きるのか。理由の1つとして農家の収益が低いことが挙げられます。
農家の平均年収は450万円ですが、そのうち40%近くが年収300万円以下です。
稼げないと農家を長く続けられなくなり、離農するケースが多くなっています。
また、収益が少ないと農業に就職する若者も減少。
さらに離農する農家が多いため、耕作放棄地が増えているんです。
ここからは3つの問題について、日本の農業にどのような影響があるのか、詳しく説明していきます。
農家の高齢化と後継者不足が深刻な問題
上記のグラフからわかる通り、日本の農家数は年々減っています。
農家数の推移を見ると、基幹的農業従事者数(※)は2005年には224万人でしたが、2020年には136万人に減少。
農家数の減少が続いているため、後継者不足も深刻で技術継承ができていません。
さらに65歳以上の高齢農家は94.9万人で、農家の世代交代が必須な状況です。
なぜ農家数の減少や農家の高齢化、後継者不足が起きているのか、理由は3つあります。
- 農業機械の普及
- 若者の都市部への流出と農地周辺の人口減少
- 向上しない作業効率
1つ目は農業機械が普及したこと。
広い農地で機械を使うことで手作業が減り、以前に比べると人手は少なくても仕事ができるようになりました。
2つ目は若者の都市部への移動と農地周辺の人口が減少したこと。
休みなし・体力仕事など農業のマイナスイメージと若者の都会への憧れが影響し、世代交代が進まず農家の高齢化が起きています。
3つ目は作業効率が向上していないこと。
農業機械の導入以降も手作業は行っており、まだまだ農作業は重労働です。
作業効率を上げる対策は初期費用が必要なため、後回しになっています。
農業は作業効率を上げないと、労働時間が減らず体力仕事のままになり、後継者が現れません。
以上の3点を踏まえ、これからの農業を考えた対策を取らないと、日本の農業は衰退するかもしれません。
※基幹的農業従事者数とは、主な本業が自営農家の人の数
個人・家族経営農家の減少による影響
日本の農業の9割以上を占める個人・家族経営農家。
現在、個人・家族経営農家も減少していて、これからの農業に影響を及ぼす可能性があります。
個人・家族経営農家の特徴は、それぞれの個性が出た農作物を栽培していること。
味や食感、栽培方法など、農家によって違いがあり、各々こだわりの農作物を育てています。
個人・家族経営農家が減ってしまうと、個性のある農作物が少なくなり、味や品質が一定化するかもしれません。
そして、これからの日本の農業は個人・家族経営農家が減り、法人による大規模農業経営になっていくでしょう。
法人経営は、機械や情報通信技術を使って効率的な農作業を行うので、個性が出にくいです。
同じ味や食感になったり、色味や栄養も似たりして均一化されやすくなります。
そのため、個人・家族経営農家が積み重ねてきた知識や経験を大規模農業に活かすのが大事。
多種多様な農作物を育て、個性のある農業に発展させていくのが重要になってきます。
耕作放棄地増加によって起こる問題
耕作放棄地とは、過去に農作物が育てられていましたが、1年以上農作物の栽培が行われていない農地のこと。
耕作放棄地は1975年の13.1万haから2015年には42.3万haに増え、深刻化しています。
農家の減少から耕作放棄地が増加しており、さまざまな問題が起こっているんです。
例えば、農地に雑草がたくさん生えて害虫が発生したり、不法投棄が増えてしまったり。
近隣の農地にも悪影響を及ぼし、農業全体に迷惑がかかってしまいます。
人が整備しなくなり、農地が荒廃したから起こる問題なんです。
さらにこういった状況が続くと、農地としての再生が厳しくなります。
雑草や木々の除去に莫大なコストがかかるので、より農地の手入れを放棄するようになるでしょう。
これからの農業は、持続可能な社会の実現(SDGs)に向けて動かなければいけません。
耕作放棄地が増えてしまうと、農作物の栽培ができず、食料危機に陥る可能性も…。
そうならないためにも、耕作放棄地は早急に解決しないといけません。
これからの農業に必要な対策
課題 | 解決方法 |
---|---|
農家の若返りと後継者不足 | 農業の大規模化 |
農家の収益アップ | スマート農業の普及 |
耕作放棄地の活用 | 農地バンクの活用 |
持続可能な社会の実現(SDGs) | 食料の安定供給と環境問題の緩和 |
日本の農業にはさまざまな問題があり、一刻も早く対策を取らないといけません。
これまでお伝えしてきた情報から、日本の農業の問題を整理すると課題は4つあります。
上記の表のような解決方法を実践すれば、日本の農業の未来は明るくなるでしょう。
ここからはどのように問題を解決していくのか、ご紹介します。
農業の大規模化により農家の若返りと後継者不足を解消
農家の若返りと後継者不足の解消を実現していくには、農業の大規模化が重要。
先ほどお伝えした通り、これからの農業は法人による大規模化が予想されます。
農業の大規模化が進むと生産効率が向上し、農業従事者の作業時間が減少。
農業は休みなしで働くイメージがありますが、生産効率が上がれば余暇を楽しめる時間が増えます。
そして、法人による大規模農業になることで信用度が上がり、資金調達がしやすくなるんです。
資金が多いと、最新機械の導入やデータの活用などができ、生産量が上がって経営は安定。
経営が安定すれば、従業員の社会保険や福利厚生が手厚くなるため、農業に就職する若者は増えるでしょう。
農業が大規模化すれば若者農家が増え、後継者不足が解消され、農業の未来が明るくなります。
スマート農業の普及が作業効率をアップ
農家の収益アップを実現するには、スマート農業の普及がカギです。
スマート農業とは、ロボットや情報通信技術を利用して作業効率や農作物の品質を高める農業のこと。
大きく分けると、ロボット・AI(人工知能)・ビッグデータ(人間が把握できない多種多様なデータ)の3つです。
例えば、農薬を撒くドローンや自動運転トラクター、経営・生産管理システム、センサーによるモニタリングなど。
これらのスマート農業を活用することで、農家の作業時間が短縮され、生産性がアップします。
さらに少ない人手でも大規模な農地で生産ができるため、農家の収益は上がっていきますよ。
耕作放棄地は農地バンクの活用で解決
耕作放棄地が増え続けている現状を打破するために、農林水産省が農地バンク制度を始めました。
農地バンクとは、農地を貸したい方と農地を借りたい方のマッチングサービスのこと。
2014年に各都道府県に設置され、中立な立場で農地の受け渡しを後押ししています。
新規就農者の農地取得はハードルが高く、農地の持ち主から信頼を得なければいけません。
そこで国が間に入ってくれる農地バンクを利用することで、農地取得が円滑に進みます。
しかも借主は貸主との交渉が不要で、話し合いが苦手な方も安心して借りることが可能。
貸主は賃料のほかに協力金がもらえるので、双方にとってお得な制度なんです。
また、耕作放棄地を整備するときは耕作放棄地再生利用緊急対策交付金という補助金がもらえます。
雑草の除去や土壌改良などを併せて行う場合は10aにつき5万円、農作物を導入した場合は10aにつき2.5万円など。
このように国は対策を講じて、耕作放棄地の利用を促すために周知しています。
持続可能な農業を実現する(SDGs)
世界中で気候変動や人口増加が起こっている現状に対応していくため、日本の農業は変わらなければいけません。
そこで重要なのはSDGsとも呼ばれる、持続可能な農業を実現すること。
持続可能な農業を実現するには、食料の安定供給と環境問題の解決が大事です。
現在、世界では人口増加が起こっており、2022年には80億人を超えるといわれています。
さらに異常気象や砂漠化など地球環境の変化が著しく、未来に向けて対策を考えないといけません。
どのように未来に向けた農業を行えばいいのか、実際の対策を見てみましょう。
例えば、化学肥料や農薬を使用せずに農作物を育てる有機農業や環境保全型農業(※)を実施して、地球の負担を抑えています。
土壌汚染を極限まで防いで環境を保護し、生態系に影響を与えないように配慮しているんです。
ほかにも食品ロスを防ぎ、廃棄する食材は肥料や家畜のエサにしてリサイクルしています。
このように持続可能な農業を実現すれば、子どもたちが住み続けられる地球にしていけるでしょう。
※環境保全型農業とは、環境に負荷を与えないように化学肥料や農薬の使用を抑える農業のこと
これからの農業は儲かるのか?
「これからの農業はどのくらい収入があるのかな?」
と未来の農業では、いくら稼げるのか気になっている方がいるかもしれません。
結論からお伝えすると、これからの農業は儲かるチャンスがたくさんあります。
作業の効率化や独自の販売ルートの開拓などを行えば、収益の最大化が狙えるんです。
例えば、スマート農業や6次産業化(※)、高単価の農作物の栽培など。
これらを実践している一部の農家は、年収1000万円を超えており、やり方次第で農業は儲かります。
ただ、農業で儲けるには、収益の最大化とコストの最小化を目指さないといけません。
無駄な投資をしたり、作業効率を見直さなかったりすると、農業で高収入を目指すのは難しいです。
さらに地域や育てる農作物によっても、収入の違いがあります。
農地が限られている関東より、広大な土地がある北海道のほうが農地も大規模になるため、儲けやすいです。
また、低単価な野菜や果物よりも、高単価な野菜や果物を栽培したほうが高収入を狙えます。
このように、農業を始めるときは先を見据えて儲けられる準備をしておきましょう。
※6次産業化とは1次産業(生産)と2次産業(製造・加工)、3次産業(流通・販売)をかけ合わせた付加価値を高める産業のこと
未来の日本の農業はどう変化するのか?
日本の農業の未来はどう変わっていくのか、これまでお伝えした情報から3つの変化が予想されます。
- 6次産業化により高収益が可能になる
- 作業効率の向上により労働時間が減少する
- 農作物は室内のLEDで育てて安定供給していく
これらの変化は一部で実現しており、普及すれば日本の農業の現状課題を解決していくでしょう。
3つの変化は具体的にどういった内容なのか説明していきます。
6次産業化により高収益が目指せる
生産した農作物を加工して、オリジナルな商品で販売する6次産業化。
農協に農作物を卸さずに自身でお客様に直接商売するので、収益の最大化が狙えます。
6次産業化で高収益を目指すために押さえるポイントは2つ。
- ネットショップの開設
- レストランやカフェを経営
それぞれどのように行えば、利益の最大化が狙えるのか解説していきます。
ネットショップを開設して農作物を販売
6次産業化を行ううえで代表的なのが、ネットショップの開設。
生産した農作物や加工した商品を、ネット上で販売します。
ネットショップ販売は、店舗維持費が非常に少ないため、実店舗を持つより安価に経営が可能。
さらに全国に顧客を持てるため、実店舗より顧客数が大幅に増え、収益の最大化が狙えます。
農協では扱えない規格外の農作物も販売でき、廃棄する手間がなく、コストは最小限。
ただ、収益を増やしていくには独自性が重要です。
例えば、化学肥料や農薬を使用しない有機野菜、ごはんに乗せたくなる調味料など。
農地を所有している地域の名産やお土産にちょうどいい商品を製造するのが、主流になっています。
ファンがつくような独自性の高い商品開発を行えば、ネット販売が軌道に乗り、収入がアップしていくでしょう。
レストランやカフェの経営で新鮮野菜の料理を提供
6次産業化でもう1つ代表的なのがレストランやカフェの経営。
生産した農作物を使用した料理を提供し、ファンを獲得しています。
農場の近くにお店を設置して、新鮮な野菜料理を届ける方法が主流です。
また料理を振る舞うだけでなく、収穫体験を提供したり、直売所を設けたりとさまざまな方法があります。
自然を眺めながら新鮮な野菜が楽しめるので、地元民や旅行客などファンがつきやすいです。
お店が人気になれば、ブランド化されて生産した農作物の販売数アップにもつながりますよ。
作業効率の向上による労働時間の減少
これからの農業は、スマート農業や法人による大規模経営が予想されます。
そのため、作業効率の向上と労働時間の減少が実現されるでしょう。
ただスマート農業が進んでいる欧米に比べると、日本は農業の自動化が遅れているんです。
現状をなんとか打破しようと、国がスマート農業を推進中。
スマート農業の普及で作業効率が向上するので、生産量が上がります。
生産量が上がれば、食料自給率も上がり、国内で消費しない農作物を海外に輸出することが可能。
今後は日本の農業を世界に発信して、良質な農作物を輸出していこうと国は考えています。
だからこそ、作業効率の向上と労働時間の減少を目指し、農家が農業を続けられるような環境を作らなければいけません。
コストパフォーマンスの良い農業を行えば、良質な農作物の生産量が上がり、世界と競争できる力を養っていけますよ。
農作物は室内のLEDで育てて安定供給を実現
農作物は屋外で育てなくてもいいのはご存知でしたか?
LED光源を太陽光の代わりに使用して、室内で農作物を栽培する方法があるんです。
玉川大学が行うLED農園では、完全な閉鎖型の施設にて農作物を栽培しています。
土は一切使わず、水耕栽培なので、清潔で農薬を使わないで済む環境が実現できました。
屋外のような天気や温度に左右されないため、安定した生産量を確保。
さらに光の色を調整でき、農作物の栄養や味、食感などを変えられます。
今後、地球温暖化や異常気象に耐えられる農業体制にするには重要な対策です。
これからの農業を支えていくためにできることは?
これからの農業を支えていくために必要なのはただ1つ、国産食材を食べること。
冒頭でもお伝えした通り、日本の農業は農家の減少や高齢化が目立っています。
これらの問題を解決するには、農家の収益を上げなければいけません。
収益を上げるには、国産の農産物を食べて応援するのが大事です。
例えば、野菜の直売所を利用したり、ネットショップで購入したり。
旬の食材を選べば、美味しく食べられるだけでなく、農家を応援できます。
また、国産食材を食べれば日本の食品ロスを防げるんです。
持続可能な社会の実現に向け、個人でもできることを始めていきましょう。
農業の未来をつくるお手伝いを始めませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日本の農業は、農家の収益を上げることが1番重要です。
これからの農業は収益を上げるために、スマート農業や法人による大規模経営などに転換するでしょう。
農家の収入がアップすれば、農業に就職する人が増えて、日本の食料供給は安定していきます。
そうなると、農業の未来は明るくなること間違いなしですよ。
農家に転職を考えている方はこれからの農業に対応するために、まずは農業の現状を把握することが大切です。
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