今、若者が農業に注目しているのをご存知でしょうか?

なぜ、若者が農業に興味を抱いているのか、それは日本の農業の問題と関係しているのです。

現在、日本の農業には農家の高齢化や食料自給率の低下といった問題があります。

そういった問題に国は危機感を抱き、国民に周知するようになりました。

現状を知った若者が当事者意識を持って、困難を解決していこうと農業に興味を持つようになってきています。

その結果、農家に転職を考えている若者が増えてきているわけなのです。

ただ、農業を始めたいと思っていてもどのように転職すればいいのか、支援策はあるのかなどが気になりますよね。

この記事では、若者が農業に転職する際のメリットやデメリット、国や地方自治体などが行っている支援についてご紹介。

20代から40代くらいまでの若者で、農業へ転職を考えている方はぜひ、参考にしてください。

農業は高齢者から若者へ世代交代が進んでいる?

若者と高齢の農家
この記事を読んでいる方は、農家の高齢化が進んでいるという話を聞いたことがあると思います。

実際に農家の高齢化は進行していて、年々農家の平均年齢は上昇しているのです。

平均年齢はどのくらい変化しているのか、農林水産省のデータを確認してみましょう。

・2000年の農家の平均年齢は62.2歳
・2021年の農家の平均年齢は67.9歳

引用:担い手の動向(農林水産省)
農林水産省(農業労働力に関する統計)

20年前に比べると、平均年齢は5歳も上がっていて、農業は高齢者から若者への世代交代は果たせていません。

農業人口の推移

「平均年齢は上がっていても、高齢の農家の数が減っていて、若者の農家が増えていたら大丈夫なんじゃない?」
と思うかもしれません。

では、農家の数はどうなのか、2019年から2022年までの数値を見ていきましょう。

農家数のグラフ
※本グラフの農家とは、農業を本業にしている基幹的農業従事者のこと
引用:農林水産省(農業労働力に関する統計)

2019年に比べると、2022年は農家の数は約18万人減っていて、65歳以上の高齢農家も約12万人減っています。

ただ、高齢農家数が減っていて、若者の農家が増えていたら世代交代が進んでいる証です。

若者の農家は増えているのか、2019年から2021年までの新規就農者に関する、49歳以下の若者の数を見てみましょう。
若者の農家数のグラフ
引用:農林水産省(農業労働力に関する統計)

49歳以下の新規就農者の人数を見ても、農家自体は減少していますが、一部の若者農家は増えています。

新規雇用就農者(※1)や新規参入者(※2)は、49歳以下の若者が増加中。

新規雇用就農者が増えているのは、農家や農業法人のもとで雇用されたら効率的だと考える人が多くなっているからです。

女性の農家数のグラフ
引用:農林水産省(農業労働力に関する統計)

さらに新規就農者と新規参入者は、女性の数が増えてきているのも特徴。

若者だけではなく、女性も農業に興味を持っているのは、昔のような辛い・しんどいといったイメージがなくなってきている証拠です。


※1:新規雇用就農者とは、農業法人に新しく雇用された人のこと(7ヶ月以上の期間の定めあり)
※2:新規参入者とは、資金や土地を自ら用意して、農業を始める人のこと(贈与や相続などは含まない)

なぜ農家に転職したい若者が増えているのか?

悩んでいる女性
新規雇用就農者や新規参入者の人数の推移からわかる通り、農業に興味を持ち、農家に転職したいと考える若者が増えています。

なぜ農業に転職しようと考えているのか、若者が農業を選ぶ理由と農業離れしていた理由の2点から考えてみましょう。

若者が農業を選ぶ理由

若者が農業を選ぶ理由は3点あります。

  • 若者が安定を求めている
  • サポート体制が整っている
  • 効率よく農業ができるようになった

1つ目の理由は安定を求めている若者が多くなっているから。

農業は食べ物を作る仕事のため、人間にとって絶対必要で、一生なくならない職業です。

さらに日本人のライフスタイルが変化してきて、「田舎でのんびり暮らしたい」と考える若者が増えてきました。

田舎で生活するなら自給自足できる農業がやりたいと、農家志願者も増えています。

安定した仕事をしたい若者や、都会で働くより地方で働きたい若者などが農業に注目しているのです。

2つ目の理由は、サポート体制が整っているから。

日本の農業人口が減ってきている現状を打破しようと、国や地方自治体はさまざまな対策を実行中です。

例えば、農業の設備を整えるための初期費用を用意したり、研修制度を導入したりしています。
農業初心者の若者でも、農家になれるように手厚いサポート体制を整えているのです。

3つ目の理由は効率よく農業ができるようになったから。

昔の農業は人が手間暇かけて、手作業で農作物の栽培を行ってきました。
現在はトラクターやコンバインなどの農業機械を使用するのはもちろんですが、スマート農業で栽培を行っている農家も少しずつ増えています。

スマート農業とは、ロボットやコンピューターを利用して行う農業のことです。
例えば、ドローンを使って農薬を散布する、スマートフォンで水田の水を管理するなど。

こういった人の力を必要としない農業の方法があるため、効率よく農作物の栽培ができ、その分空いた時間を有効活用できます。

空いた時間は家族と過ごしたり、新しく栽培したい農作物の育て方を調べたりと、やりたいことに取り組めるのです。

若者が農業離れしていた理由

以前は若者が農業に参加しにくい環境になっていました。
その理由は2点あります。

  • 初期費用が高い
  • 体力や経営技術、農業の知識が必須

農業を始めるには多額の資金が必要です。
令和3年度の新規就農者の就農実態に関する調査結果によると、新規参入者の初期費用は全体平均が755万円。
内訳は機械・施設などへの費用が561万円、種苗・肥料・燃料などの必要経費が194万円です。

このように初期費用がかかるため、若者が農業へ新規参入しにくい環境になっていました。
現在は、農業支援策が手厚く、自己資金は300万円程度でOK。
資金の借り入れもできるので、初期費用は少なくても問題ありません。

それに農業はほぼ毎日、農作物の状態を見ながら育てていく必要があり、体力と農業の知識が必須。
加えて農家が生活していくには、農作物を売って稼いでいく経営スキルも不可欠です。

農業初心者にとって体力は慣れていけば克服できますが、農業知識・経営スキルは独学だと限界があります。
ただ、現在は農家へのインターンシップに参加して、農業に必要な技術を身に付けることが可能。

加えて、地方自治体やJAなどの研修で経営スキルを習得できるので、農業初心者の若者も農家になりやすくなっています。

若者が農業を行うメリットとデメリット

メリットとデメリット
ここからは、若者が農業を行ううえでのメリットとデメリットをお伝えします。
いい面も悪い面も知ったうえで、農家になるかならないかの判断をしてくださいね。

メリット

農業を行ううえでのメリットは4点あります。
この4点は農業ならではの特徴なので、ぜひ知っておいてください。

儲かるチャンスがある

農業は儲からないというイメージがあると思いますが、そうではありません。
実際に年収1000万円を超す農家もいて、農業で儲けることも可能なのです。

最近ではシャインマスカットや夕張メロンなど、ブランド化されている農作物を栽培していくことで、稼ぐことができます。

ただ、高い水準の栽培・経営・販売スキルなどが必要なので、日々の勉強が大切です。

儲かる野菜が知りたい方はこちらをご覧ください。
儲かる果物が知りたい方はこちらをご覧ください。

自給自足できる

農業は人間が生きるうえで欠かせない食べ物を作る仕事。
他人へ農作物を販売してお金を稼ぎますが、残った農作物は自分で消費していきます。
自給自足ができるのは、農業や漁業の限られたお仕事くらいです。

やりがいがある

生きるためには食料が必要で、常に農作物を作らなければなりません。

農家は農作物を作って誰かに売り、買った人がその日生きていけます。
農業で食料を生産することは、人間が生きていくために不可欠です。

つまり、あなたが作った農作物は誰かの明日をつくることになり、やりがいを感じられます。

定年がない

農業には定年がないため、自分から農業を辞めなければ一生、仕事ができます。
農業は人間が食べることを続けている限りなくならないので、生涯安定して仕事を続けていきたい方にピッタリです。

デメリット

農業をするときのメリットをお伝えしてきましたが、もちろんデメリットもあります。
ただ、どのデメリットも対策をしていけば問題ないので、知識として頭に入れておいてください。

農作物の被害がある

農作物の栽培を行うと、どうしてもついて回るのが農作物の被害。
台風や大雨などの自然災害や、動物・虫などによる被害を受けてしまう可能性があります。

自然災害に関しては、保険に加入しておいたり、農場の排水溝をきれいにしておいたりと事前に準備しておくといいでしょう。

動物は、罠を仕掛けたり、猟友会に駆除してもらったりするのが効果的。
虫よけには農薬や器具を使用して、農作物に寄せ付けない対策を立てれば大丈夫です。

肉体労働

農業は腰をかがめる作業や重いものを持つ作業など、肉体労働が多い仕事。
注意して農作業を行わないと、ひざや肩、腰を痛める可能性があります。

ケガをしないためにも、作業後にストレッチを行ったり、整体に通ったりして日々の体のメンテナンスをすることが大切です。

ただ現在、一部の農家では農作業をサポートするパワーアシストスーツが普及中。
体の負担を軽減しながら、農作業が行えるので農家が注目しています。

パワーアシストスーツは、重いものを持ち上げるときや下ろすときに非常に便利。
中腰や前傾姿勢をとるとき、歩くときにモーターで動きをアシストしてくれます。

若者の農業支援

役所とお金
若者が農業を行ううえで、支援があると助かりますよね。
農家への支援があれば、農業に転職する際の心配は少なくなるかもしれません。

実際にどんな支援を行っているのか、国と地方自治体、JAの3点で具体例をご紹介しましょう。

新規就農の補助金について知りたい方はこちらをご覧ください。

国は将来の農家を育成していくために、4点の支援策を講じています。
農業初心者でも農家として生活できるように、手厚く支援してくれるので、安心して農家になれるのです。

就農準備資金

就農準備資金は、各都道府県の農業学校や先進農家(※)などの研修機関で指導を受ける場合に支援が受けられる制度。

就農希望者に月額12.5万円(年間最大150万円/最長2年間)が交付されます。


※先進農家とは、農業のスキルが高く、経営状態もいい指導できる立場の農業者のこと

経営開始資金

経営開始資金は、新しく農業に就職する場合に月額12.5万円(年間最大150万円/最長3年間)が交付される制度。
ただし、独立するときや自営農家になる際は、以下の条件を満たす必要があるのでご注意ください。

・独立・自営農家である
・原則49歳以下の認定新規就農者(※)
・次世代の農業者になる意向がある
・前年の世帯所得が600万円以下

上記以外にもいくつかの細かい条件をクリアする必要があります。
詳しくは農林水産省の「就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)」のページをご覧ください。


※認定新規就農者とは、青年等就農計画(就農地や経営目標などが書かれた計画書)が市町村に認定された新規就農者のこと

経営発展支援事業

経営発展支援事業とは、農業機械の導入や苗・樹木の購入に必要な資金を支援してくれる事業です。

・機械・施設などの導入にかかる経費は1,000万円まで(経営開始資金をもらう場合は500万円まで)
・補助率は都道府県が支援する分の2倍を国が支援(例:国…50%、県…25%、本人25%)

国と地方自治体の両方で支援してくれるサービスですが、経営開始資金と同様に対象者が決まっています。

青年等就農資金

青年等就農資金とは、認定新規就農者を対象に、無利子融資が受けられる制度のこと。

・返済期間は17年以内(うち据置期間5年以内)
・返済期間は3,700万円(特別に認めた場合は1億円)

担保は原則として対象物件のみ、保証人について個人は不要、法人は必要であれば代表者のみでOKです。

地方自治体

国の農業支援策を見ると、さまざまな策がありましたね。
ここからは地方自治体がどのような支援策を講じているのか、独自の農業サポートを行う北海道と鳥取県を例に見てみましょう。

北海道

農業といえば、北海道を最初に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
そんな北海道では、家賃補助や大型特殊免許などの支援が用意されています。

【就農研修者家賃助成事業】

対象者:1年以上の研修を行う認定新規就農者の予定者
具体的な支援:月額家賃1万円以上で、家賃の半分以内の助成(1万円まで/3年以内)

【大型特殊免許取得支援事業】

対象者:新たに就農を目指して先進農家などで研修している認定新規就農者の予定者
具体的な支援:大型特殊免許取得にかかる費用の半分以内の助成(5万円まで)

鳥取県

梨やスイカ、ぶどうなど果物の生産が有名な鳥取県。
こちらでは、機械や設備を整える場合に利用できる制度や、アドバイザーに相談できる仕組みなどがあります。

【就農条件整備事業】

対象者:機械や設備を整えたい認定新規就農者
具体的な支援:1,600万円まで(国の経営発展支援事業と併せた上限額)

【就農・くらしアドバイザー設置事業】

対象者:就農後1年以内の認定新規就農者
具体的な支援:就農・くらしアドバイザーを設置し、農村の生活や農業経営に関する相談ができる

JA

JA(農業協同組合)では、各地域ごとに支援を行っています。

例えば、岐阜県にあるJAめぐみのでは、新規就農を応援してくれる資金援助があります。
県内出身者であれば1ヶ月1万円、県外出身者であれば1ヶ月2万円を支援。
ただし、JAめぐみので行っている本格的農業研修の参加者が対象です。

ほかにも栃木県の北部にあるJAしおのやでは、新規就農者育成研修事業を実施中。
研修者は研修期間内に、月額10万円程度の支援金が受け取れます。

このように、JAではさまざまな支援を行っているので、ぜひ活用してくださいね。

高収益を実現するための取り組み事例

だんだん増えているお金
ここからは実際に、高収益を実現している地方自治体の取り組みを見てみましょう!

札幌から車で1時間30分ほどの距離にある北海道共和町では、メロン・スイカの長期安定供給とブランド化を推進中。
共和町で取れたブランドのメロンやスイカは、らいでんメロン、らいでんスイカという名で知られ、全国への普及を目指しています。

ほかにも石川県金沢市では、五郎島金時というさつまいものブランド化を目指しています。
五郎島金時とは、金沢の伝統野菜の1つで、ホクホクとした食感と上品な甘さが魅力のさつまいも。
伝統的な五郎島金時をブランドにすることで、高価値を実現して高い収益を上げているのです。

このように、各地で農作物の高収益を目指す動きがあります。
農業は手間暇がかかるのに稼げない、という負のイメージを払拭するために一生懸命、対策を講じているのです。

農家のお手伝いなら『ジモベジワークス』

農家の若者
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

国や地方自治体、JAは若者に農業をしてほしいと多くの支援策を講じていて、若者が農業を始めやすい環境にしています。

研修制度が充実しているため、農業の知識がなくても心配はいりません。

「農業には興味があるんだけど、いきなり転職するのはちょっと不安……。」
という方は、農家さんのお手伝いから始めてみませんか?

農家さんのお手伝いができるサイト『ジモベジワークス』は、農家さんと農業バイトがしたい方をマッチングするサービス。

全国各地の農家さんがアルバイトを募集しているため、通勤しやすい地域で働くことが可能。
さらにジモベジワークスは1日単位で農業バイトを募集しています。

そのため、空いた時間を農業バイトに費やせば、お金も農業のスキルも手に入るのです。

簡単なお仕事から始められるので、農業経験がなくても大丈夫!

すぐにWEBで登録でき、履歴書も面接も必要ないため、応募のハードルが高くありません。

農業に興味がある方はぜひ、ジモベジワークスをご利用ください!